チャートに斜めの線を1本引くだけで、いま相場がどちらを向いているかがはっきりします。それがトレンドラインです。指標のように計算は要らず、必要なのは安値か高値を2つ選んで結ぶことだけ。テクニカル分析のなかで、もっとも道具として単純なものです。
ただし単純なぶん、引く人によって線が変わります。「自分に都合のいい線を引いてしまう」という問題は、初心者に限らずついて回るものです。この記事では、引き方のルールと、引いた線が「抜けた」と言える条件までまとめます。
この記事でわかること
- 上昇トレンドラインと下降トレンドラインの引き方の違い
- 2点で引いて3点目で確かめる、という基本の手順
- ヒゲと実体のどちらで引くべきか
- チャネル(平行線)としての使い方
- 「抜けた」をどう判断するか、抜けたあとに何が起きるか
トレンドラインとは? 安値どうし・高値どうしを結んだ1本の線
上昇している相場では、価格は上下しながらも安値が切り上がっていきます。この安値どうしを結んだ線が上昇トレンドラインです。線より上に価格がある限り、上昇の流れは続いていると読みます。
下降している相場では逆に、高値が切り下がっていきます。この高値どうしを結んだ線が下降トレンドラインで、線より下に価格がある限り下降が続いていると見ます。
やっていることはサポートライン・レジスタンスラインと同じです。違うのは、水平ではなく斜めであること。値動きに角度がついている場面では、水平線より斜めの線のほうが実際の止まり方をうまく説明できます。
| 項目 | 上昇トレンドライン | 下降トレンドライン |
|---|---|---|
| 結ぶ点 | 安値どうし | 高値どうし |
| 線の位置 | 価格の下側 | 価格の上側 |
| 働き | 下値を支える | 上値を抑える |
| 続いている合図 | 価格が線の上にある | 価格が線の下にある |
| 転換の合図 | 線を下に割る | 線を上に抜ける |
引き方の3つのルール
① 2点で引いて、3点目で確かめる
線は2点あれば引けますが、2点だけではまだ「たまたま」かもしれません。3点目でも同じ線で止まって初めて、多くの人がその線を見ていると考えられます。2点で仮に引き、3点目で確認する——これが基本の手順です。
逆に言えば、3点目が来るまでは仮の線です。仮の線に頼って大きく動くと、外れたときの説明がつかなくなります。
② ヒゲか実体か、どちらかに統一する
安値を結ぶとき、ローソク足のヒゲの先端で結ぶのか、実体の下端で結ぶのかで線が変わります。どちらが正解ということはありませんが、同じチャートのなかで混ぜないことが大事です。ヒゲで引くと一時的な行き過ぎまで拾い、実体で引くと本体の動きに沿った線になります。
※ヒゲと実体の違いについては、詳しくは「ローソク足の見方」にまとめています。
③ 無理に引かない
もっとも大事なルールです。きれいに3点が並ばないなら、そのチャートにトレンドラインは引けません。線を引きたいあまり、1点だけ大きく外れたところを無視したり、角度を都合よく変えたりすると、それは分析ではなく作図になります。

トレンドラインで一番やっていた失敗は、引き直しだった。割れたら少し角度を寝かせて引き直す。また割れたらまた寝かせる。そうやって、いつまでも「まだ上昇トレンドだ」と言い続けていた。
いまは引き直した回数を数えるようにしている。2回引き直したら、その時点でもうトレンドは終わっていると考える。線を守るために線を動かすのでは、何も見ていないのと同じだ。
チャネル——平行線として使う
トレンドラインを1本引いたら、その線と平行な線を反対側に引いてみます。上昇トレンドラインなら高値側に、下降トレンドラインなら安値側に。この2本に価格が挟まれて動いている状態をチャネルと呼びます。
チャネルが機能していれば、下限では支えられ、上限では抑えられるという往復が読めます。上限に近づいたら利益確定を考え、下限まで待って拾う、という組み立てができます。
「抜けた」をどう判断するか
① 終値で判断する
ザラ場で一瞬割っただけの動きは頻繁に起こります。判断は終値です。終値でラインの外側に出たかどうか、それだけを見ます。この一手間で、だましに付き合う回数がかなり減ります。
② 抜けたあとの戻りを見る
割れたトレンドラインは、その後は反対の役割で働くことが多くなります。下に割った上昇トレンドラインは、戻ってきたときに上値を抑える側にまわる。ここで跳ね返されると、転換したという判断の裏付けになります。図2の右側がその形です。
この現象は水平のサポートラインでも同じように起こります。斜めか水平かの違いだけで、仕組みは共通です。
③ 角度が急なラインほど、抜けても意味が小さい
45度前後の緩やかな線が理想とされます。角度が急な上昇トレンドラインは、少し値動きが落ち着くだけで簡単に割れてしまうため、割れたこと自体にあまり意味がありません。急な線が割れたときは「転換」ではなく「加速が止まった」と読むほうが実態に近いです。
弱点と注意点
- 引く人によって線が変わる。客観的な正解がない
- 点が3つ揃うまでは、あくまで仮の線
- 角度が急なラインは割れやすく、割れても意味が小さい
- 方向感のないレンジ相場では、そもそも引けない
- 引き直しを繰り返すと、いくらでも「まだトレンド中」にできてしまう
主観が入る道具なので、単独で判断の根拠にするのは危険です。移動平均線のように誰が引いても同じになる指標と組み合わせて、線の向きと指標の向きが一致しているかを確かめると、判断が安定します。

線を引くと、それだけで相場がわかった気になる。実際にはこちらが勝手に引いた線で、相場はそんなものを知らない。
それでも使うのは、同じ線を大勢が見ているからだ。誰の目にも明らかな安値を素直に結んだ線ほどよく効く。逆に、自分だけが見つけた絶妙な線は、たいてい効かない。うまく引けたと思ったときほど疑うようにしている。
よくある質問
トレンドラインはヒゲと実体のどちらで引くべきですか
どちらでも構いませんが、同じチャートのなかで混ぜないことが大事です。ヒゲで引くと一時的な行き過ぎまで含んだ線になり、実体で引くと値動きの本体に沿った線になります。まずはどちらかに決めて、しばらく同じやり方で見続けることをおすすめします。
何点で結べばトレンドラインと言えますか
2点あれば線は引けますが、3点目で同じ線に止まって初めて信頼できる線になります。触れた回数が多いほど意識されている線ということなので、4点目、5点目と増えるほど強い線と考えて構いません。
トレンドラインが割れたら、すぐに売るべきですか
終値で割ったかどうかをまず確認します。そのうえで、戻ってきたときに割れた線に跳ね返されるかまで見ると確度が上がります。ただし急な角度の線は簡単に割れるため、割れたこと自体は転換の証拠になりません。特定の売買を勧めるものではないので、最終的な判断はご自身でお願いします。
まとめ|トレンドラインのポイント
- 上昇なら安値どうし、下降なら高値どうしを結んだ1本の線
- 2点で仮に引き、3点目で確かめる。それまでは仮の線
- ヒゲか実体かは、どちらでもよいが混ぜない
- 平行線を足すとチャネルになり、上限と下限の往復が読める
- 「抜けた」の判断は終値。割れた線はその後、反対の役割で働くことが多い
筆者:田中(田中家の投資道)。日米株と金を中心に運用する個人投資家。毎日の経済ニュースと、実際の保有銘柄の売買判断を公開しています。
【免責事項】本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄や投資手法の売買を推奨するものではありません。テクニカル分析は将来の値動きを保証するものではなく、最終的な投資判断はご自身の責任においてお願いいたします。

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