2026年8月20日の市況をまとめます。米財務省が長期国債の買い戻し額を倍増すると発表し、長期金利が低下する一方で金は急騰しました。日経平均は2134円安と大幅続落し、2日間で4000円近く値を下げています。
この記事でわかること
- 米財務省が長期国債の買い戻し額を倍増させる狙いと、長期金利への影響
- FOMC議事要旨から見える、タカ派姿勢の広がり
- 日経平均が2日間で4000円近く下げた背景
- ドル安と金4400ドル突破が示すものと、田中家の相場観
前日(8月19日)の市況は長期金利2.945%|30年ぶり高水準とホルムズ海峡緊迫【8/19市場ニュース】にまとめています。
| 項目 | 8月20日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| 米財務省の国債買い戻し | 1回最大20億ドル→40億ドル以上 | 対象は残存10〜20年・20〜30年。9月9日〜11月4日 |
| 金(ゴールド) | 節目の4400ドルを突破 | ドル安を背景に急騰 |
| FOMC議事要旨(7月) | 高官3人が利上げを求め反対票 | それ以外にも複数の参加者が利上げを主張 |
| 日経平均 | 2134円安の6万5326円 | 2日間で4000円近い下落 |
| 機械受注(6月) | 1兆558億円、前月比+9.7% | 原発関連の大型受注が押し上げ。2か月ぶりのプラス |
| ターゲット(5〜7月期) | 売上高+5%、純利益は2倍 | 関税還付金を約10億ドル計上。ロウズは横ばい |
米市場・金融政策
まずは相場全体を動かした米国の動きです。国債の買い戻し、金価格、FOMC議事要旨、小売決算の4つを取り上げます。
米財務省、長期国債の買い戻し額を倍増へ|狙いは長期金利の抑制
米財務省が長期国債の買い戻し額を倍増させると発表しました。対象は残存期間が10〜20年と20〜30年の長期国債です。1回あたりの買い戻し額は、現在の最大20億ドルから少なくとも40億ドルに引き上げられます。
- 対象:残存10〜20年・20〜30年の長期国債
- 金額:1回あたり最大20億ドル → 少なくとも40億ドル
- 期間:9月9日〜11月4日
財務省は国債の流動性支援が目的だとしていますが、世界的に広がる金利の上昇を抑える狙いがあるとみられています。
金価格が4400ドルを突破|ドル安を背景に急騰
国債の買い戻し発表を受けてドルが売られ、ドルと逆相関の関係にある金が急騰しました。長らく上値を抑えられていた節目の4400ドルを上抜けています。
これまで金の上昇は地政学リスクか利下げがきっかけになるとみられていましたが、今回は国債の買い戻しという想定外の材料が突破口となりました。
FOMC議事要旨で利上げ論が拡大|「インフレが減速しなければ利上げも」
7月のFOMCでは政策金利が現状維持となりましたが、高官3人が利上げを求めて反対票を投じました。
議事要旨によると、この3人以外にも複数の参加者が利上げを主張していました。FOMC内でタカ派的な姿勢が徐々に広がっていることになります。
また7月のFOMCでは、ウォーシュ議長が会合の回数を年8回から6回に減らす案に言及しました。会合の間隔を空けて、より多くのデータを確認するためだと説明しています。
出典:FRB「Meeting calendars and information」
ターゲットは純利益2倍、ロウズは横ばい|米小売決算
米小売大手ターゲットの5〜7月期決算は、売上高が前年比5%増、純利益は2倍となりました。連邦最高裁で無効とされたトランプ関税の還付金を10億ドル近く計上し、利益を押し上げています。
商品の値下げなどで客足も回復しており、2027年1月期通期の売上高見通しを上方修正しました。
一方、ホームセンター大手のロウズは同業を買収した効果で増収となったものの、純利益はほぼ横ばいでした。住宅市場の減速で需要が軟調だとしていて、通期の見通しを下方修正しています。
日本市場・経済指標
続いて日本国内の動きです。日経平均の大幅続落と、6月の機械受注統計を確認します。
日経平均2134円安、終値6万5326円と大幅続落
日経平均株価は2134円安の6万5326円で取引を終えました。2日間で4000円近い下落となり、終値で6万5000円台をつけるのは2週間ぶりです。
下落の背景は、中東情勢の先行き不透明感と、世界的な長期金利の上昇です。特にAI・半導体株に売りが広がり、相場全体を押し下げました。
6月の機械受注は9.7%増|原発関連の大型受注が押し上げ
企業の設備投資の先行指標となる6月の機械受注額は1兆558億円で、前の月から9.7%増えました。プラスは2か月ぶりです。
原子力発電関連の大型受注が全体を押し上げました。基調判断は「持ち直しが見られる」に据え置いています。
企業・産業ニュース
ここからは個別企業の話題です。中国のロボット企業の上場や、mRNAがんワクチンの治験成功を取り上げます。
ヒト型ロボットのユニツリーが上海市場に上場
中国のユニツリーが上海市場に上場しました。ヒト型ロボットを主力事業とする企業の上場は、中国本土市場では初めてだとしています。
初値は公開価格の7.3倍となる1100元(日本円でおよそ2万6000円)をつけ、時価総額は一時約10兆5000億円に達しました。終値でも845元と公開価格の5.3倍です。
IPOで調達した資金で、AIを搭載した新型の開発を強化します。
料理宅配「menu」が9月末でサービス終了
KDDIの子会社で料理宅配を手掛ける「menu」が、9月末でサービスを終了すると発表しました。サービス終了後は解散して清算します。
フードデリバリー市場の競争激化や、採算の改善が見込めないことが要因だとしています。
mRNAがんワクチンの最終治験に成功|モデルナとメルクが世界初
米モデルナと米メルクは、遺伝情報を伝える物質「mRNA」を使ったがんワクチンについて、最終段階の臨床試験に成功したと発表しました。
このワクチンはメラノーマ(悪性黒色腫)と呼ばれる皮膚がんに使われ、メルクの抗がん剤と併用することで再発・転移を抑制できるとされています。
がんを対象としたmRNAワクチンで最終治験に成功したのは世界初とされ、モデルナの株価は3倍近い上昇となりました。
出典:Moderna「Investor Relations」
万博工事で水増し請求、竹中工務店社員を背任容疑で逮捕
大屋根リングの関連工事費を下請け業者に1300万円以上水増し請求させたとして、大阪府警は竹中工務店の河井辰巳容疑者を背任の疑いで逮捕しました。
河井容疑者は、不正に得た資金を自宅のリフォームなどに使用していたとみられています。
国際情勢
最後に、相場の重荷となっている地政学リスクと国際政治の動きです。
UAEがイランとの貿易・金融取引を停止|ミサイル発射への対抗措置
UAEはイランとの貿易・金融取引を当面停止すると表明しました。イランから弾道ミサイル2発が発射され海上に落下したと明らかにしていて、その対抗措置とされています。
イラン側はミサイルの発射について、根拠がないと否定しています。
トランプ大統領、金正恩総書記との会談に意欲|年内実現を指示か
トランプ大統領は「金氏と関係が良好なのは良いことだ。核兵器57発を保有しているが、許容されるべきではない」と述べました。
トランプ大統領が金総書記との会談を年内に実現するよう側近に指示したと報じられており、秋のアジア歴訪中の会談を模索しているとされています。
一方、北朝鮮の金与正・朝鮮労働党副部長は、金氏が対話の呼びかけに応じたとトランプ氏が主張していることについて「把握していない」と述べました。ただ、金総書記がトランプ氏に個人的に良い思い出と感情を持っているとも指摘しています。
考察|今日の相場をどう見るか

米財務省の国債買い戻しは、日本のYCCに近い政策だとみています。
中央銀行が景気を調整するために政策金利を決めるのは、主に短期金利です。今回は市場が決める長期金利に、財務省が直接メスを入れる形になります。日本が以前に行っていたYCC(イールドカーブコントロール=長期金利を狙った水準に抑え込む政策)と同じようなことをしている、という見方です。
これで長期金利は下がりました。ただ、ドル円の介入と同じで、構造的な金利上昇の流れそのものを変える力はありません。期間を決めて買い戻すようですが、これが常態化すればドルの信用が落ちていき、ドル安の要因になります。

金は下落トレンドを脱却し、トレンド転換したとみてもいいでしょう。
今回の買い戻しで、ドルと逆相関の金は急騰しました。地政学リスクか利下げでレジスタンスの4400ドルを超えてくると考えていましたが、予想もしていなかった国債の買い戻しが突破のきっかけになりました。

FOMCの議事要旨では複数の参加者が利上げを主張しており、利上げに対してタカ派ではあります。それ以上に国債買い戻しのインパクトが大きいのか、ドル安が進みました。
イラン情勢の再燃もあり原油価格も停滞、個人消費はなんとか持っているようにも見えます。ただ、利上げをすれば消費が落ち込み、利下げをすればインフレが再燃する。どちらに転んでもハードランディングになりそうです。
ここから秋までは軟調な展開を予想しています。株価も長期金利が下がって少しは反発しましたが、勢いが弱いのが気になります。大きく落ちたところは、年末に向けて拾っていきたいところです。

フィジカルAIの分野では、日本は資金力の勝負で分が悪いとみています。
中国のヒト型ロボット企業が上海市場に上場しました。フィジカルAIの開発費などが日本では世界に比べて少なく、競争力では負けています。次にフィジカルAIがくるのは分かりますが、日本企業にとって資金の問題でアメリカや中国に負けてしまうかもしれません。そこは日本の技術力で勝負してもらいたいところです。
フィジカルAI関連企業も要チェックで、割安になれば拾っていきます。

保有銘柄は一応すべて含み益です。買い増ししたモノタロウも含み益になりました。
証券コード1321の日経は売ってしまって保有していませんが、落ちてくるのを待っています。金とビットコインがアメリカの国債買い戻しの影響もあり上昇。金とビットコインは引き続きコツコツと買い増していきます。
まとめ|8月20日の市況ポイント
- 米財務省が長期国債の買い戻し額を倍増(1回あたり最大20億ドル → 少なくとも40億ドル、9月9日〜11月4日)
- FOMC議事要旨では、反対票を投じた3人以外にも複数の参加者が利上げを主張
- 日経平均は2134円安の6万5326円、2日間で4000円近い下落
- ドル安を背景に金が急騰し、節目の4400ドルを突破
米国の長期金利と金の動きが、当面の相場の軸になりそうです。秋までは軟調な展開を想定しつつ、大きく下げた場面で拾っていく方針です。
よくある質問
米財務省の「国債買い戻し」とは何ですか?
政府がすでに発行した国債を、市場から買い取ることです。買い手が増えるぶん国債の価格が上がり、裏返しで長期金利は下がります。
なぜ日経平均は2日間で4000円も下がったのですか?
中東情勢の先行き不透明感と、世界的な長期金利の上昇が重なったためです。特にAI・半導体株の下げが指数を押し下げました。
FOMCは利上げに向かうのですか?
7月の会合では政策金利を据え置きましたが、議事要旨では複数の参加者が利上げを主張していました。インフレの減速が止まれば、利上げが議論される可能性があります。
前日の市況まとめは長期金利2.945%|30年ぶり高水準とホルムズ海峡緊迫【8/19市場ニュース】からご覧いただけます。
筆者:田中(田中家の投資道)。日米株と金を中心に運用する個人投資家。毎日の経済ニュースと、実際の保有銘柄の売買判断を公開しています。
【免責事項】本記事は公開情報をもとにした筆者個人の見解であり、特定の銘柄や投資手法の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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