日本の長期金利が一時2.945%まで上昇し、約30年ぶりの高水準をつけました。背景にあるのは、ホルムズ海峡をめぐるイラン情勢の長期化と、アメリカの金利上昇です。
この記事では、2026年8月19日のマーケットニュースを地域別に整理し、記事の後半では今の相場をどう見て、実際にどう動いたかまでお伝えします。(前回:米小売売上高が9か月ぶりマイナス|利上げ観測と金・日本株の行方【8/17】)
この記事でわかること
- ホルムズ海峡の緊張が長期化しそうな理由と、イラン側が示した開放条件
- 日本の長期金利が約30年ぶりの高水準になった仕組みと、株式への影響
- 米投資適格債の発行が過去最高になった裏側(AI投資と長期国債の綱引き)
- 日経平均を一旦利確した理由と、次に買い向かうポイント
| 項目 | 8月19日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| 日本の長期金利 | 一時2.945%(1996年10月以来) | 約30年ぶりの高水準。中東情勢と米金利上昇が背景 |
| 米住宅着工件数(7月) | 前月比-12.4% | 市場予想を下回る軟調な結果 |
| 米投資適格債 | 8月の発行額が1452億ドルで過去最高 | AI投資の資金需要が長期国債の需要を吸う |
| ドイツ景気期待指数(ZEW) | 34.2に改善 | 欧州は持ち直しの兆し |
| ソフトバンクG | 個人向け社債1兆円を発行へ | 国内でも大型の資金調達が続く |
| 新潟の新米概算金 | コシヒカリが約4割値下がり | 家計には追い風、生産者には逆風 |
結論だけ先に知りたい方は、まとめ|8月19日の市場ニュース5つのポイントへどうぞ。
中東情勢|ホルムズ海峡の緊張は長期化へ
トランプ大統領「イランとの協議はなし」|イラン側が示した開放条件
トランプ大統領はSNSで「アメリカ軍によるイランの港湾封鎖は全面的に機能している。ホルムズ海峡の運航は続いている」と主張しました。
一方、イギリスの海事当局は、貨物船が海峡を航行中に飛翔体が衝突し、船員に被害が出たとの報告を受けたと発表しています。
イランのガリバフ国会議長は、アメリカが資産凍結の解除・原油制裁の解除・軍事行動の停止などを履行しない限り、海峡は開放しないと強調しました。
関連:【8/6】日銀9月利上げ観測61%・ホルムズ海峡合意へ|市場ニュースまとめ/【7/30】FRB5会合連続の据え置き、イラン情勢と紅海通行料
アメリカ|住宅は軟調、社債発行は過去最高
米住宅着工件数|12.4%減で市場予想を下回る
アメリカの7月の住宅着工件数は、季節調整済みの年換算で123万9000戸となりました。前の月から12.4%の減少で、市場予想の135万戸を下回っています。
- 主力の一戸建て住宅は、住宅ローン金利の上昇を背景に2022年11月以来、3年8カ月ぶりの水準に低下
- 集合住宅も前の月から16.8%減少
- 先行指標とされる住宅着工許可件数は5%のプラスで、市場予想を上回る
ホーム・デポ決算|増収増益で通期見通しは据え置き
アメリカのホームセンター大手ホーム・デポの決算は増収増益となり、庭造りや家の修繕などの需要が堅調だったとしています。
アメリカの住宅市場は軟調が続いていますが、底堅い販売動向を受け、2027年1月期通期の売上高見通しは従来予想を維持しました。
米投資適格債|8月の発行額が1452億ドルで過去最高に
アメリカの投資適格債の発行額が今月1452億ドル(約23兆円)となり、3カ月連続で過去最高を更新しました。
全体をけん引したのは、アルファベットなどのハイテク大手です。AI関連の巨額投資によって、資金需要が拡大しています。
ABCが連邦通信委員会を提訴|トランプ大統領の免許はく奪発言に反発
トランプ大統領は、自身に批判的なABCの一部放送に不満を示し、免許はく奪の可能性に言及しています。
これに対しABCは、言論の自由への攻撃を阻止するには司法の介入が必要だと訴えています。
ヨーロッパ|ドイツの景気期待指数が34.2に改善
8月のドイツ経済の先行きに対する期待指数は、前の月から7.3ポイントプラスの34.2となり、市場予想を上回りました。
調査を実施した研究所の所長は、企業決算と輸出需要が好調で、期待指数の改善傾向が強まっていると分析しています。
日本市場|長期金利が約30年ぶりの高水準に
日本の長期金利|一時2.945%と1996年10月以来の高水準
長期金利の指標となる新発10年物国債の利回りが、一時2.945%まで上昇しました。1996年10月以来、約30年ぶりの高水準です。
日銀が利上げペースを速めるとの見方が広がっているほか、アメリカで長期金利が上昇している流れを受け、日本の債券市場でも国債を売る動きが進み、利回りが上昇しています。
長期金利は昨年末から約8カ月で1%弱上昇したかたちです。日銀の利上げ観測については8月6日の記事でも取り上げています。
ソフトバンクG|個人向け社債1兆円を発行へ
ソフトバンクグループが1兆円の社債を発行します。国内企業による個人向け社債では過去最大の規模になります。
個人向け社債の発行は今年3度目で、利率などの条件は来月初旬に決めるとしています。
ドン・キホーテ|純利益が初の1000億円超え
2026年6月期の純利益は前年比プラス21.6%の1101億円となり、初の1000億円超えとなりました。
ディスカウント事業でインバウンド需要の取り込みを強化した結果、免税売上が1年前より3割増と、過去最高になりました。
国内トピック|新米概算金4割安・クロマグロ漁獲枠25%拡大
新潟の新米概算金|コシヒカリが約4割値下がり
JA全農にいがたは、2026年産「一般コシヒカリ」の概算金を玄米60キロ当たり1万8500円とすることを決めました。在庫の積み上がりにより、1年前と比べて約40%の値下がりとなります。
概算金とは、JAグループが米を集荷する際にあらかじめ生産者へ支払うお金のことで、新米価格と連動しています。
コメの最大産地である新潟の大幅下落は、他の地域にも影響を及ぼすとみられています。
太平洋クロマグロ|大型魚の漁獲枠を25%拡大で合意
太平洋クロマグロの漁獲枠について、大型魚は2027年からの2年間で25%拡大することで合意しました。一方、小型魚は資源保護のため6%減らします。
日本から漁に出る海域では豊漁が続いていますが、日本の漁業者は上限を超えないよう漁の自粛や、獲れたマグロの放流を余儀なくされており、漁獲枠の拡大を訴えてきました。
日本は今後、大型魚の配分比率を韓国・台湾と交渉していくことになります。
考察|今日のニュースをどう投資に活かすか
イラン情勢|停戦は遠のき、「経済的孤立」のフェーズへ

結論:停戦シナリオは一旦消えたと見ています。ここからは「経済的孤立」の局面。
イランとの協議すらしなくなったトランプ大統領。
結局、停戦は現実的ではなかった。
イランの宗教観やアメリカに対する国民性を考えると、最後まで強硬姿勢で来ることは初めからうすうす分かっていた。
トランプ大統領は株価が軟調になるとTACO(Trump Always Chickens Out=強気に出ても最後は折れる、という市場での揶揄)って、都合のいいようにSNSで発言していたが、もう都合のいいことも言えなくなってきているくらい状況は悪化してきているのだろうか。
貨物船が海峡航行中に飛翔体が衝突し、船員に被害が出たとの報告もあった。
UAEはイランからの攻撃だと主張しているが、イランはこの主張を根拠がないとしている。
SNS上ではイスラエルの偽旗作戦を疑う声もあるが、裏付けとなる報道は確認できていないので、あくまで一つの見方として。
これに対してUAEは、イランとのすべての貿易・商取引・金融取引を、追って通知があるまで停止すると正式に発表した。
ベッセント財務長官の「イランに対して、これまで一国に対して行われたことがないような経済的孤立を実施する」という発言を踏まえると、今回のUAEの報復が第一歩の始まりではないのか。
イスラエルとアメリカの仲が悪くなったとの報道があったとはいえ、聖書のシナリオ通りに進めるという点では同じだと個人的には見ているので、偽旗作戦説の裏にはアメリカの存在もあるのかもしれない。
今後、UAE以外の国もアメリカの制裁に加わり、イランを経済的に孤立させるようなことにでもなれば、イランとしては何をするかわからない。
これらを考えると、昔、日本がABCD包囲網によって真珠湾攻撃に踏み切り、第二次世界大戦に発展したことが脳裏に浮かぶ。
イランがアメリカを攻撃し、大義名分を掲げてアメリカを発端に第三次世界大戦へ発展しないことを祈るばかり。
アメリカの住宅市場|金利は重しだが、需要そのものは底堅い

結論:数字は悪いが、中身を見ると「経済が悪化した」と言い切れる内容ではない。
住宅着工件数は、住宅ローン金利の上昇を背景に軟調。
日本の金利でも高いと思うのに、アメリカの金利で住宅ローンを借りようとは到底思えないので納得の結果。
しかし、先行指標である住宅着工許可件数は市場予想を上回りプラス。
ホーム・デポの決算も、庭造りや家の修繕などの需要が堅調で通期の見通しは据え置き。
耐久消費財ではないが、住宅関係の需要は堅調とのことで、経済が悪化したとは言えない決算だった。
社債の発行増と長期金利|AI投資が長期国債の需要を吸っている

結論:AIバブルの逆回転に備えて、今はインデックス積立が中心。余剰資金は待機させています。
アメリカの投資適格債の発行額が過去最高に。
ハイパースケーラーのAI投資が、自社のキャッシュフローでは賄えないくらいの規模になっている。
投資不適格債ではなく投資適格債が、長期金利より利回りのいい社債を発行していることで、アメリカ長期国債の需要がアルファベットなどの社債に取られている。
今後さらにAI投資が拡大して社債の発行が増えれば、長期国債の魅力が薄まり、長期国債が買われなくなる。
そして金利の高止まりがグロース株の重しとなり、AIバブルが弾けないかどうかが不安材料。
イラン情勢によって原油価格も高止まりし、大企業が長期国債より利回りのいい社債を発行することで金利も高止まりする。
現状でも高金利なのに、これ以上長期金利が上昇すれば、株式でリスクを取るより無リスクの国債に資金が流れ、AIバブルの逆回転が始まってもおかしくはない。
そのときのために、今はインデックスをメインに積み立てて、余剰資金は待機させて待っている。
日経平均の売買方針|一旦利確、次の買い場は60000円付近

結論:一旦利確しました。次に買い向かうのは60000円付近を想定しています。
■利確した理由
お詫びを申し上げると、8月17日の考察で「日経平均は前回高値まで狙いたい」と言っていたが、下の2つの理由から一旦利確した(※下のチャート参照)。
・ファンダメンタル面:イラン情勢による地合いの悪化
・テクニカル面:日足の一目均衡表で、雲の上限を抜けきれなかった
■次に買い向かうポイント
長期的に見ればまだ上がると思うが、それがいつになるのかはわからない。
直近高値を頂点にして下落トレンドになる可能性もあるため、利確した資金は次のチャンスまで待機資金とする。
次に買い向かうポイントは、直近安値を割ってくる60000円付近。
チャート上でフィボナッチと日足の200日移動平均線、トレンドラインが重なるところ(59000円付近)は重要なポイント。
ここを明確に割ってくるときには、中長期の下落を覚悟しておいた方がいいかもしれない。
だましの可能性もあるので、日足でダブルボトムを形成してネックラインを上にブレイクしたときには、個人的にはまた買い向かう。
■保有中の個別銘柄
サンリオは買い増しはしていないが保有。
任天堂は8000円を超えてからは買い増しをしていないが保有。
モノタロウは値動きが冴えないものの、落ちてきたので少し買い増して保有。
これらの銘柄は中長期目線で保有しているため、現時点でも含み益はあるが、落ちたら拾って、明確に上昇相場が来るまでは持っておく。

番外編|金とビットコインの見方

金は金利が上昇しているのに堅調な値動き。
以前にチャートで紹介した通り、ダブルボトムを形成してレンジを形成している。
このレンジを上に抜ければ、再び金の上昇相場が来るかもしれない。
金利が上昇して株式が暴落するときには、追証のために金が換金されて一時的には暴落すると思うが、その後に金の大相場がまたやってくると個人的には期待している。
ビットコインも底堅い動きをしているため、次の半減期の上昇相場に向けて少しずつ買い増している。
まとめ|8月19日の市場ニュース5つのポイント
- イランはホルムズ海峡の開放条件を提示し、緊張は長期化の様相。原油高が続くリスクに注意
- 米住宅着工件数は12.4%減と軟調だが、許可件数はプラスでホーム・デポの決算も底堅い
- 米投資適格債の8月発行額は1452億ドルと過去最高。AI投資の資金需要が長期国債の需要を吸収している
- 日本の長期金利は一時2.945%と約30年ぶりの高水準。昨年末から約8カ月で1%弱の上昇
- 日経平均は一旦利確し、次の買い場は60000円付近を想定。インデックス積立を継続しつつ余剰資金は待機
明日以降の注目点
- ソフトバンクGの個人向け社債の利率など発行条件(来月初旬に決定予定)
- 日銀の利上げペースをどこまで織り込むかという債券市場の動き
- UAE以外の国がアメリカの対イラン制裁に加わるかどうか
よくある質問
ホルムズ海峡が封鎖されると何が起きますか?
ホルムズ海峡は世界の海上輸送される原油の多くが通過する要衝です。封鎖や航行リスクが長引けば原油価格の上昇につながり、そこからインフレの再燃、金利の高止まりへと波及しやすくなります。株式市場にとってはコスト増と割引率の上昇という両面で逆風になります。
長期金利が上がると株価はどうなりますか?
一般に、無リスクである国債の利回りが上がるほど、株式の相対的な魅力は下がります。特に将来の利益を織り込んで買われるグロース株は重しを受けやすく、今回のようにAI関連投資が社債の資金需要を押し上げている局面では、金利が高止まりしやすい点に注意が必要です。
概算金とは何ですか?
JAグループが米を集荷する際に、生産者へあらかじめ支払うお金のことです。新米価格と連動するため、その年の米価の先行指標として見られています。2026年産の新潟「一般コシヒカリ」は玄米60キロ当たり1万8500円で、1年前から約4割の値下がりとなりました。
参考・出典
- 米商務省センサス局「New Residential Construction」(7月の住宅着工件数・許可件数)
- 財務省「国債金利情報」(新発10年物国債利回り)
- JA全農にいがた(2026年産概算金の決定)
- 各社IR資料:ホーム・デポ/パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(ドン・キホーテ)/ソフトバンクグループ
- ZEW(ドイツ景気期待指数)
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筆者:田中(田中家の投資道)。日米株と金を中心に運用する個人投資家。毎日の経済ニュースと、実際の保有銘柄の売買判断を公開しています。
【免責事項】本記事は公開情報をもとにした筆者個人の見解であり、特定の銘柄や投資手法の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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