2026年8月4日の市場ニュースをまとめます。7月31日には日米による協調介入が実施され、ドル円は155円前後まで水準を戻しました。一方でアメリカのISM製造業景気指数は4年ぶりの高水準となり、FRB高官からは利上げに言及する発言も出ています。
この記事では、為替介入の規模と残された余力、アメリカの景気とインフレの状況、主要企業の決算のポイントを整理し、最後に今後のドル円の想定レンジと個人投資家としての備え方を考察します。
この記事でわかること
- 日米協調介入の規模と、すぐに動かせる外貨準備の残り
- 米ISM製造業が4年ぶり高水準となった中身と、FRB高官の利上げ発言
- 日産・パランティア・ボーイングなど注目の決算・企業ニュース
- ドル円の想定レンジ(152〜160円)と、円高株安への備え方
前回の記事:日米が15年ぶり協調介入|円安阻止の思惑と今後の相場【2026年8月3日】
| 項目 | 8月4日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| ドル円 | 155円前後まで水準を戻す | 7月31日の日米協調介入。規模は5兆円程度とみられる |
| 米ISM製造業景気指数(7月) | 55.6(前月比+2.3ポイント) | 4年ぶりの高水準。新規受注は7カ月連続で50超 |
| FRB高官の発言 | 利上げの可能性に言及 | ウィリアムズ総裁「必要なら行動」 |
| 日産(4-6月期) | 純利益37億円 | 8四半期ぶりの最終黒字。コスト削減と円安が寄与 |
| パランティア | 純利益が3.3倍 | 売上高は前年比+92.8%。データ保全需要が拡大 |
| ボーイング737MAX7 | FAAの型式認証を取得 | 審査の厳格化で7年遅れ。株価は8%上昇 |
日米協調介入でドル円155円台へ 効果は見方二分
ベッセント財務長官は、更なる協調介入もためらわないとの姿勢を示しています。
- 懐疑派:「効果は長続きせず」
- 肯定派:「水準が大きく変わる可能性は否定できず」
為替介入の規模は、日銀当座預金残高の見通しから7月31日だけで5兆円規模とみられています。
アストラゼネカ株が大幅安 ブリストル買収検討の報道で
アストラゼネカが、米ブリストル・マイヤーズスクイブの買収を検討していると報じられました。実現すれば世界最大の製薬企業が誕生します。
がん治療薬のラインナップ拡充や、米国市場での事業基盤の強化が狙いとみられます。
ただし市場関係者からは、ブリストルの主力製品の特許が近く失効することや、独占禁止法を巡る懸念から、統合に疑問を呈する声も出ています。
米製造業の景況感が4年ぶり高水準 受注拡大で雇用も増加
7月のISM製造業景気指数は前月比プラス2.3ポイントの55.6となり、市場予想を上回りました。
- 新規受注は7カ月連続で節目の50を上回る
- 生産は大幅なプラス
- 雇用も上昇し50を超える
- 支払価格は前月から低下したが、依然として高い水準
FRB高官が利上げに言及 ウィリアムズ総裁「必要なら行動」
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は、インフレ率は今年後半にかけて低下するとの楽観的な見方を示しました。
ただし物価上昇が続く場合は、目標の2%に向けて行動を起こすことが適切だとして、利上げの可能性を排除しない考えです。
出典:FRB「Speeches and Testimony」
ボーイング737MAX7がFAAの型式認証を取得 審査厳格化で7年遅れ
ボーイングは小型機「737MAX7」の安全性を証明する型式認証を、FAA(米連邦航空局)から取得しました。
737MAX7は当初2019年ごろの運航開始を予定していましたが、相次いで発生したボーイング機の墜落事故を受けてFAAの審査が厳しくなり、認証が遅れていました。
これらを材料に、株価は8%上昇しています。
自民党が食料品の消費税1%案を了承
自民党の会合では、次のような意見が出ました。
- 消費税減税に賛成
- 財源への懸念や外食産業への影響を指摘
高市総理は党内の手続きを経て、8月上旬に減税の方針を閣議決定したい考えです。
日産が8四半期ぶりの最終黒字 4-6月期の純利益は37億円
日産自動車の2026年4-6月期の純利益は37億円でした。1年前は1157億円の最終赤字だったため、8四半期ぶりに最終損益の黒字を確保したことになります。
コスト削減が進展したほか、円安なども収益を押し上げました。
世界での販売台数は1%マイナスの70万1000台でしたが、主要市場と位置付ける中国や北米、日本では販売が増加しています。
出典:日産自動車ニュースルーム
パランティアの純利益が3.3倍 AI時代のデータ保全需要が拡大
パランティアの決算は、売上高が前年比プラス92.8%、純利益は3.3倍となり、1株利益も予想を上回る結果になりました。
2026年通期見通しの売上高も、市場予想を上回っています。
カープCEOは、企業がAIによるデータ流出への懸念を強める中で、データ保全を重視するパランティア製品の需要が高まっていると説明しています。
出典:Palantir IR
考察|協調介入後のドル円と個人投資家の備え方
介入にすぐ使える外貨預金は残り約14兆円か

今回の日銀の介入規模は、前回と同じくらいの規模だと推測されています。ただ前回と違うのは、7月30日が日本の単独介入だったのに対し、31日はアメリカとの協調介入だったという点です。
日銀が介入に使える原資のうち、すぐに動かせる外貨預金は約25兆円です。仮に今回11兆円規模の資金を使ったとすると、残りは約14兆円になります。
前回は米国債を売ってドルを準備して介入しましたが、今回はアメリカの金利の状況を見ると、すぐに使える外貨預金から使っている可能性が高いと思います。
外貨建て証券(米国債等)は約146兆円、外貨準備全体では約202兆円あるとみられます。ただ米国債を売って介入すればアメリカの金利が上昇してしまい、アメリカが許さないでしょう。そう考えると、実質的に残りは14兆円しかないのかもしれません。
なぜアメリカは協調介入に応じたのか

今回アメリカが協調介入してきたのは、アメリカにとってもこのドル円の水準が都合が悪いためだろうと思います。
このまま円安が続けば日本の物価は上昇し、日銀が急激に利上げをする可能性が出てきます。
そうなれば円キャリートレードの巻き戻しによってアメリカ株も売られ、ドルを円に戻す動きが強まります。アメリカとしても、それは阻止したいのだと思います。
ドル円は152〜160円のレンジを想定

協調介入によって、ドル円の水準は155円前後で推移しそうです。ただアメリカの景気とインフレ率を考えると利上げの可能性も排除できないため、このままだと160円を目指して円安に進みそうです。
160円は市場が意識するレジスタンスラインになっているため上値は重いものの、下値も日本の政策によって円安傾向です。新たな材料が出ない限り、152〜160円のレンジで推移すると思います。
円高株安に備えて、資金と心の準備をしておく

アメリカの株価は最高値圏ですが、円高になったことで日本円で投資をしている人は損失になっています。
アメリカ株が暴落して円キャリートレードの巻き戻しが起こり、東日本大震災のときのような円高株安になれば、日本円のレートに換算したアメリカ株は大きな含み損になります。
それがいつ起こるかはわかりません。ただ、このまま永遠に株価が上昇するとは考えられないので、今の資産が半分になっても余裕でいられる精神状態になれないと思う人は、ポジション調整をしておいた方がいいと思います。
逆に、株価が暴落しても損切りせず数十年先までホールドできる人からすれば、その時は絶好の買い場になります。
私自身は現在、現金比率を高めにしているためこの株高では機会損失になっています。ただ自分のリスク許容度を考えた上で、毎月余剰資金でコツコツとインデックスを積み立てているので、まったく株高に乗れていないわけではありません。
次の大暴落を待って現金比率を高めているのはマイルールにのっとった投資なので、メンタルも安定しています。個人的には今年か来年に大きな暴落が起こると思っていますが、何も起こらずに株高が続いてもインデックスで資産は順調に増えるため、どちらに転んでも資産は増えます。
暴落のときに損切りをしてしまう人と、そこで買い向かう人とでは、天と地の差が生まれます。暴落時に買い向かえる準備(心の準備と資金の準備)をしている人が、資産を効率よく増やしていける人だと思います。
まとめ|8月4日のポイント
- 7月31日の日米協調介入でドル円は155円前後へ。介入規模は5兆円規模とみられ、すぐに使える外貨預金の余力は約14兆円と推測される
- 米のISM製造業景気指数は55.6で4年ぶりの高水準。FRB高官も利上げの可能性を排除していない
- 決算は日産が8四半期ぶりの最終黒字、パランティアは純利益3.3倍と好調
- ドル円は152〜160円のレンジを想定。円高株安のリスクに備え、資金と心の準備をしておきたい
今回は考察というより個人的な投資の考えが中心になりましたが、少しでもためになれば幸いです。
よくある質問
為替介入の「原資」とは何ですか?
政府・日銀が介入に使えるお金のことで、外貨準備がそれにあたります。すぐに動かせる外貨預金のほか、米国債などの外貨建て証券があります。ただし米国債を売って円買い介入を行うとアメリカの金利が上がってしまうため、実際に機動的に使えるのは外貨預金の部分に限られる、というのがこの記事の考察の見立てです。
ISM製造業景気指数の「50」には、どんな意味がありますか?
50が景気の拡大と縮小を分ける節目です。50を上回れば製造業の景況感は拡大、下回れば縮小を示します。7月は55.6で4年ぶりの高水準となり、新規受注は7カ月連続で50を上回りました。
円高になると、なぜ日本株を持つ人の資産が減るのですか?
日本株そのものの値動きに加えて、輸出企業の採算が円高で悪化しやすいためです。またアメリカ株を円換算で保有している場合は、株価が変わらなくても円高になった分だけ円ベースの評価額が目減りします。この記事では、円高株安が同時に来る局面に備えて資金と心の準備をしておく、という考えを書いています。
筆者:田中(田中家の投資道)。日米株と金を中心に運用する個人投資家。毎日の経済ニュースと、実際の保有銘柄の売買判断を公開しています。
【免責事項】本記事は公開情報をもとにした筆者個人の見解であり、特定の銘柄や投資手法の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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