2025年3月第3週(3月16日〜19日)は、米軍によるイラン・カーグ島空爆をきっかけにホルムズ海峡危機が激化し、原油価格の急騰・株式市場の乱高下・FOMCの動向が重なる、投資家にとって目が離せない一週間となりました。本記事では、田中が各日の主要ニュースと投資家視点のコメントをまとめて解説します。
この記事でわかること:ホルムズ封鎖が日本株・原油株・ゴールドに与える影響 / FOMC金利決定の背景と今後のシナリオ / 春闘満額回答が日本経済に意味すること
3月16日(月):米軍のイラン空爆とホルムズ海峡危機の激化
- トランプ大統領はペルシャ湾にあるイランの原油積み出し拠点カーグ島の軍事施設を空爆し完全に破壊した。石油インフラを破壊しないこととしつつ、ホルムズ海峡の自由で安全な航行を妨害した場合は直ちにこの決定を見直すと警告
- イランはアラブ首長国連邦の3港を攻撃目標としていると警告
- 米司法当局はFRB本部の改修工事をめぐりパウエル議長が虚偽の議会証言をした可能性を指摘しているが、ワシントンの連邦地裁判事は召喚状は利下げと辞任を促すことが目的だったと示唆されるとし、FRBに対する圧力を批判
- アメリカの個人消費支出物価指数は前年比2.8%増加。伸び率は3か月ぶりに縮小したが1月の物価動向を示すもので中東情勢の悪化の原油高を反映していない
- アメリカのGDPは前期比年率0.7%増加。速報値の1.4%から下方修正。個人消費・設備投資ともに減速
- EUはロシアへの制裁でプーチン大統領をはじめとするおよそ2600の個人・団体の資産凍結などの措置を9月15日まで延長することを決定。EUによる制裁は半年ごとに全加盟国による承認が必要になるが、制裁期限切れを前に親ロシアのハンガリーやスロバキアが抵抗したため全面解除の可能性もあったが回避された。一方、EUが凍結しているロシア中央銀行の資産については半年ごとの更新承認を不要とすることを去年12月に決定していて凍結解除はロシアが侵攻で生じた被害賠償を終えた後となっている
- 北朝鮮の軍部隊が大型の多連装ロケット砲の発射訓練を実施し金正恩が視察。移動式発射台から12発連続で発射され364キロ先の日本海の島に命中した。侵攻を受けた場合に攻撃手段として使われると警告
- 出光興産はホルムズ封鎖が長期化すればエチレンの生産を停止する可能性があると取引先に通知
- 丸善石油化学は3月中のエチレンの生産には影響がないもののその先は対応を検討中
- 三井化学は誘導品の生産計画を見直している
- 東ソーは今後の情勢に応じて製品供給に影響が出る可能性があると一部の顧客に通知している
- メタが従業員の20%以上に当たる人員削減を計画している。AIで業務を効率化し開発費用も捻出
- ザッカーバーグCEOは大規模なチームを必要としたプロジェクトが才能ある1人によって完結できるようになったと発言
フィジカルAIの需要サイドへの働きかけ
先行官需の創出
| 災害対応分野 | 防衛・宇宙分野 | インフラ保守分野 |
ロングテール市場での導入促進(実装ロードマップ策定)
| 小売業 | 製造業 | 警備業 | 建築業 |
| 運輸業 | 農林水産業 | 介護業 | 造船業 |
イラン情勢の影響があった3月2日~13日までの主な銘柄の株価騰落率
上昇している銘柄上位12銘柄 下落している銘柄上位12銘柄
1.INPEX 横浜ゴム
2.ローム 住友金属工業
3.任天堂 三菱ケミカルG
4.レーザーテック 日本航空
5.古河電気 SCREENHD
6.信越化学工業 三井化学
7.商船三井 野村HD
8.川崎汽船 オムロン
9.日本郵船 イビデン
10.良品計画 マツダ
11.東宝 安川電機
12.トレンドマイクロ スズキ

トランプ大統領がイランの原油要衝であるカーグ島の軍事施設を破壊し、イランもアラブ首長国連邦の3港を攻撃すると報復警告を発しています。もともとはイラン・イスラエル・アメリカの三者間の衝突でしたが、気づけば他国を巻き込む展開になっており、第三次世界大戦の足音が聞こえてくるようでもあります。
トランプ大統領は日本に対して、「日本の船もホルムズ海峡を通過するのだから自衛隊を派遣せよ」と要求してきていますが、さすがにこれは毅然とした態度で断ってほしいところです。日本はイランと良好な関係を維持しており、ロシア・ウクライナ戦争の時のようにアメリカに追随して同じ過ちを繰り返すべきではないと考えます。
中国やインドのタンカーはホルムズ海峡を通過できているという情報もあり、原油決済を人民元で行う話も出てきています。これが現実となれば、ドルの基軸通貨としての地位は揺らぐことになります。今回の原油問題が解決した後はドル安局面に転換する可能性が高いため、今のうちにアメリカ株以外の資産やゴールドなどのコモディティをコツコツと仕込んでおく戦略が有効だと思います。
アメリカのPCE(個人消費支出物価指数)の伸びは縮小していますが、これはイラン情勢を反映していない数値であるため、次回は高くなるはずです。FRBの金利会合は据え置きが濃厚です。GDPは速報値より下方修正されており、本来なら利下げ方向ですが、このタイミングで利下げすると原油高とインフレが再燃するリスクがあります。据え置き以外の発表があれば市場にショックが走る可能性があります。
北朝鮮のミサイルが日本海の島に命中したニュースが、あまりにもあっさり流されていることに違和感を感じます。日本が同じことをすれば即座に戦争になりかねない行為に対して、日本が何も行動を起こさないのは「優しい」を通り越して、もはや異常ではないでしょうか。自国にミサイルを撃ち込まれているだけで、平常ではないのに慣れてしまっているのは、ある意味深刻な状況です。
ホルムズ海峡問題は原油だけでなく、中東と貿易しているあらゆる企業にも影響が出ています。ただし、企業の本質的な価値が変わっているわけではないため、中東問題が解決すれば暴落前の株価水準に戻る可能性が高い銘柄もあります。今回の急落で「狙っていた株が割安になった」という投資家にとっては、リスクを受け入れながら仕込む絶好のチャンスとも言えます。リスクを受け入れてこそ、その後の大きなリターンが得られるということを忘れずにいたいものです。
ナフサ(石油化学の原料)の国内備蓄は約1か月分と少なく、ホルムズ封鎖が長引けば出光興産や三井化学などの企業業績は急速に悪化しそうです。生産停止となれば川下企業にも連鎖的な影響が出てくるため、この分野への投資には注意が必要です。一方で、事態が収束した際には逆にこれらの銘柄が急騰する可能性もあるため、状況を注視しておく価値はあります。
メタの大規模な人員削減は、AIの進化によって優秀な人材がAIに置き換えられていることの証明でもあります。働き方のパラダイムシフトはすでに始まっており、自分たちへの影響が出てくるのも時間の問題です。これからは「AIにできない働き方」を意識的に考えていかないと、生き抜くことが難しくなる時代が来るかもしれません。
3月17日(火):エヌビディア決算とFOMCの焦点は「原油インフレ」
- エヌビディアの開発者会議の講演でジェンスンファンCEOは2027年までにAI向けの次世代半導体の売上が1兆ドルに上るとの見通しを示した
- 今年ブラックウェルとルービンで約80兆円規模の需要・受注を見込んでいる
- AIデータセンター向けのプラットホームベラ・ルービン。AIデータセンター全体をパッケージとして販売。新たなCPU半導体「ベラ」も発表。顧客のGoogleやメタはエヌビディアからの脱却を見据え自社製半導体の開発を急いでいる
- トランプ大統領はホルムズ海峡の安全確保に向けて日本を含む各国に対して艦船の派遣を含む支援を改めて要求した。多くの国が派遣に動き出したとしたが具体的な国名は言及せず。ヨーロッパ諸国を中心に支援に消極的な見方についてなぜアメリカに守られているのにアメリカを守らないのかと不満を述べた。高市総理はアメリカ側はまだ正式に支援を求めていないとして政府として必要な対応を検討中と述べた
- イラン情勢を巡り米中が駆け引きを続けている。パリで開かれた閣僚級貿易協議は対話の継続で合意。協議終了後ベッセント財務長官は今月末の米中首脳会談は延期される可能性があると言及。延期されるとしても戦闘中は大統領は国内にとどまるべきとの判断からとしているが、ホルムズ海峡での船舶護衛での中国の慎重姿勢が焦点
- アメリカの製造業景気指数は前月比マイナス0.2%。去年12月以来マイナス。サプライチェーンの混乱で入荷遅延の項目が悪化したことが響いた。インフレが重しに
- メタはオランダのクラウド企業「ネビウス」と最大270億ドルの取引発表
- マイクロン・テクノロジーは台湾の半導体受託製造「PSMC」の工場買収が完了
- ホルムズ海峡の封鎖で日本政府は石油備蓄の15日分を放出を開始。今月下旬からは国家備蓄30日分も放出へ。合わせて約8000万バレルで過去最大規模。放出はロシアのウクライナ信仰が始まった2022年以来4年ぶり
- 日本がアメリカやEUヨーロッパ連合とともに中国産レアアースなどを輸入管理する枠組みに参加の方向で調整。新たな枠組みは各国で最低価格制度などを設け安価な中国産から市場を守り民間の投資を促す狙い。日本は中国に依存しないサプライチェーンの構築につなげたい考え
- 信越化学工業は塩化ビニール樹脂を4月1日納入分から従来より2割高い1キログラムあたり30円以上値上げすると発表。ホルムズ海峡の事実上の封鎖で原料のエチレンが調達困難となり価格急騰のため
- 出光興産はエチレンの原料であるナフサの仕入れに影響が出ているとして千葉と山口のエチレンの生産設備で減産を始めると明らかにした
- アンソロピックのアモデイCEOが「国民の大量監視」と「完全自立型兵器」へのAI利用を拒否したことで国防総省と激しく対立。ヘグセス国防長官は報復としてサプライチェーン上のリスクとみなし排除に動いたがアンソロピックは制裁は違法として政府を提訴し徹底抗戦の構えを見せている
- オープンAIはこの混乱に乗じて国防総省の機密ネットワークへチャットGPTを提供する契約を締結。これを受けて一般ユーザーの猛反発を招いてアンインストール数が急増。アンソロピックのクロードは知名度が高まってアプリストアの無料アプリランキング首位に
- トランプ大統領は訪中を1か月延期を要請したと明らかにした
- トランプ大統領は日本・韓国・ドイツを名指ししてアメリカ軍が駐留して守っているのに機雷の掃海艇を派遣できるかと尋ねると関与できないと言い協力しようとしなので驚いていると述べ不満を表明
原油相場への影響3つの観点
1.ホルムズ海峡問題
2.イランの生産障害のリスク
3.世界全体の供給余力や需給バランス
有事の豪ドル高の背景
・天然ガスや石炭などの資源輸出国
・健全な財政事情 高い格付け
・中央銀行の金融引き締め
・「スーパー」など豪年金ファンドの米ドル売り
2026年中国経済の課題
1.住宅・不動産問題
2.内需拡大 米中関係
3.価格競争・過剰生産 デフレ懸念

エヌビディアの業績は予想以上に好調です。株価だけを見るとバブルのように感じますが、それだけの業績が伴っているという点は評価に値します。もっとも、今からエヌビディア株に手を出すつもりはなく、「AIバブルがどこまで続き、どのように終わるのか」を観察していく方が個人的には面白いと感じています。
イラン情勢が始まってから、トランプ大統領の発言が一貫していません。株価を上げたいのはわかりますが、「戦争は4週間続く」と言いながら株価が下がると「もうすぐ終わる」と発言を翻すなど、信憑性に欠けます。アメリカ自身が始めた戦争なのに、支援に消極的な各国を責めるのも筋が通りません。アメリカへの信用は低下の一途をたどっており、海外の資産がアメリカから流出していくのは自然な流れだと思います。
アメリカが日本に原油を輸出してくれるという報道もありましたが、輸送コストが高く割高です。しかも、なぜ日本がアメリカの原油増産に投資しなければならないのか、疑問に感じます。結局は日本のお金でアメリカが原油を掘りたいだけではないか、というのが率直な感想です。
米中首脳会談は今月中と思われていましたが延期になりました。アメリカがベネズエラ、そしてイランと中国の原油供給ルートを封じにかかっているという見方もあります。ベネズエラでうまくいったため、イランでも同じ手法が使えると思ったのかもしれませんが、それが誤算だったのでしょう。中国がイランへの支援をやめるとは考えにくく、イラン情勢の長期化は避けられないと見ています。
アメリカ経済は悪化しつつある中で、原油高が追い打ちをかけています。利下げしないと景気後退に入るリスクがありますが、利下げすれば資産インフレが加速して経済が悪化するというジレンマに陥っています。景気後退が本格化した際には緊急利下げによるドル安局面が来ると予想しており、その時にはゴールドやビットコインなどのドル建て資産が大きく動くと思います。今から少しずつ準備しておく価値はあるでしょう。
アメリカは中国の最大のカードのレアアースのカードも使えなくなるようにしている。ベネズエラもイランも間接的には対中国の制裁でレアアースは直接的な政策なので中国を本気で潰しにかかっていってるみたいだが第二次世界大戦の時の日本みたいに最終戦争に向かうようにならずに対話で終わるように祈る。
原油関連でエチレンの原料のナフサも製造できなくなりサプライチェーンが崩壊して業種によれば大打撃になりそう。日経平均は下値を固めているように感じるがまだまだ下落余地はあるので余剰資金の投入はまだ。
アンソロピックは真っ当なことを発言しているのに国防総省はそれを利用してやりたかったことを拒否されたので報復をするのは子供みたい。アメリカ人はこのニュースを見てオープンAIを見限ってアンソロピックのクロードに流れているみたいでオープンAIは顧客が個人が多くアンソロピックは法人の顧客が多いので勝敗はアンソロピックに軍配が上がりそう。
3月18日(水):FOMCは金利据え置き、春闘は大手が相次ぎ満額回答
- トランプ大統領はイラン軍事行動をかなり近い将来に撤退すると述べた。ホルムズ海峡の船舶護衛で日本を含む各国への支援要請を撤回、中東各国から多大な協力は得られたがNATOは支援しなかったと不満をあらわにした
- 習近平国家主席との米中首脳会談は5~6週間後に開催見通し
- イスラエルの国防相が最高指導者故ハメネイ師の最側近で外交や国防を統括する最高安全保障委員会のラリジャニ事務局長を殺害したと発表。イスラエル・周辺への攻撃を指揮したイラン体制の事実上のトップだったとして殺害を正当化している
- 航空各社が中東緊迫も根強い需要で見通しを引き上げ
- オランダのAIインフラ企業ネビウスグループが約6000億円規模の転換社債発行へ。昨日にメタと大型契約をして調達資金はメタがAI開発に利用するデータセンターなど最新鋭のインフラ構築に充てられるとみられている
- ドイツのZEW景況感指数は中東情勢の緊迫化によるエネルギー価格の上昇で悲観的な見方が広がり前月比-0.5と急速に悪化した。バンバッハ所長は企業の景況感は崩壊した。化学、製薬、自動車は特に落ち込みが激しいと指摘
- 公示地価の全用途は全国平均で前年比+2.8%で5年連続の上昇。住宅地は都心部のマンション需要の高まりで東京が18年ぶりに上昇率1位。商業地は資材や人件費など建築コストの高騰による再開発計画の頓挫などが影響して名古屋や福岡など地方の主要都市で上昇率の伸びが縮小。全国で地価が最も高ったのは20年連続で東京中央区の山野楽器銀座本店で1平方メートル当たり6710万円
- メットライフ生命で社員が出向先の代理店から不正に情報を持ち出した疑い。持ち出した情報は数千件で国内生命保険業界で最多となる可能性
- 出光興産はアメリカの投資会社が運営するイギリスの液化天然ガスの事業会社に約800億円を出資すると発表。液化天然ガスは環境への負荷を減らせるエネルギー源として需要が増加しているだけでなくエネルギー安全保障の面からも戦略的価値が高いとして成長分野と位置づけ本格参入を目指す
- テック大手7社が電気料金保護の制約に署名し、データセンターの電力費用を全額負担するとした。中間選挙を見据えてアフォーダビリティ(生活の手ごろ感)へ配慮し電力インフラの自給自足を突き付けた。自前の原発や小型原子炉を作る動きを見せている
戦略17分野
□AI半導体□造船□量子□合成生物学・バイオ□航空・宇宙□デジタル・サイバーセキュリティ□コンテンツ□フードテック□資源・エネルギー安全保障・GX□防災・国土強靭化□創薬・先端医療□フュージョンエネルギー□マテリアル(重要鉱物・部素材)□港湾ロジスティクス□防衛産業□情報通信□海洋

トランプ大統領は良くも悪くも行動が早い人物です。中間選挙に向けて株価や支持率を意識した動きが透けて見えますが、今回はイスラエルも深く絡んでいるため、思い通りにはならないでしょう。「アメリカがやらないならイスラエルが動く」という構図で、イランの重要人物を殺害することについて「正当な理由がある」と主張しているようですが、人を殺すことに正当な理由などあるはずがありません。イランの民間人や子供たちの命が奪われる状況を続けて、その上で停戦を求めるというのは、感情的な反発を生むだけです。こうした非人道的な行為に強い憤りを覚えます。
メタは間接的な資金調達を活用してAIデータセンターなどのインフラ整備に積極投資しており、AI覇権を本気で狙っています。ただし、データセンターは膨大な電力を消費するため、大手テック企業が自社エネルギーの自給自足に動き始めています。規模によっては電気料金全体に影響が出て、物価にも波及する可能性があります。エネルギー関連銘柄への影響という観点でも引き続き注視していきたいところです。
国内の生命保険会社に関する問題が最近表面化しています。かつて自民党が政治資金問題で批判されたように、生命保険会社も長年にわたって消費者に不利な仕組みで利益を得てきた側面があります。こうした不透明な慣行が正されて、業界全体が健全化されることを期待しています。
出光興産が液化天然ガス(LNG)へのシフトを進めています。環境規制の観点からも原油からLNGへのエネルギー転換が進む可能性があります。LNGの先物価格の動向も注目ポイントになってくるかもしれません。
日本の予算は基本的に単年度主義ですが、海外では中長期的な視点で予算編成をしている国が多いです。高市総理が中長期的な積極財政路線を打ち出し、プライマリーバランスの短期的な黒字化にはこだわらないとしているため、政府が重点投資する「戦略17分野」にはお金が流れやすい環境が整いつつあります。これらの分野に関連する銘柄は、中長期投資の観点で注目する価値があります。
3月19日(木):FOMC後の市場反応と今後の投資シナリオ
- FOMCを開き政策金利を3.5%から3.75%のレンジで2会合連続で据え置くことを決めた
- パウエル議長は「中東情勢が経済に及ぼす影響は不透明だ。FRBは物価・雇用の動向を注視していく。エネルギー価格の上昇は短期的には広範な物価上昇圧力につながるがそれが景気に及ぼす影響は規模や期間を含めまだわからない。公表を見送りたいと言った参加者もいたほど先行きが不明だ。速やかに収束するのか長引くのか誰も確信をもって予測できない」と述べた
- 経済は堅調で失業率に変化はないとしながらもオイルショックとゆう言葉を使い新型コロナ・関税・今回のショックが立て続きに起きたことで実際にどの程度の影響が出るかを懸念してしていると警戒感を示した
- 今年と来年の物価上昇見通しを上方修正
- モノの価格について極めて重要視している
- 関税の影響でインフレ率を0.5~0.75ポイント押し上げている
- 今年の半ばごろに関税の影響が一巡しインフレが低下していくか見極める
- 政策金利見通しは去年12月時点と変わらず今年1回と来年1回の利下げを見込んでいる
- パウエル議長は自身への捜査が透明性をもって完全に終わるまでは理事会を離れることはしないと述べ5月に議長としての任期が切れた後も理事として残る意向を表明。後任指名を受けたウォーシュ氏の承認が遅れた場合議長代行として残ると明言
- カナダの中央銀行はイラン情勢を受けエネルギー価格上昇が今後数か月のインフレ押し上げると指摘した一方、経済全体に与える影響を判断するのは時期尚早との見方を示し、今後見通しに変化があれば対応する考えで3会合連続で政策金利を据え置き
- 2月の生産者物価指数は市場予想を大幅に上回り前月比0.7%上昇
- トランプ大統領はイランによるホルムズ海峡の封鎖について同盟国は開放を支援せよと自身のSNSで主張
- 南部ブシェール州にある主要な天然ガス施設がアメリカ・イスラエルの攻撃を受け、革命防衛隊は報復を宣言していて数時間後、カタールの国営エネルギー企業がイランによるミサイル攻撃でガス施設が多大な被害を受けたと公表
- 今年の春闘は大手企業は労働組合の要求に対して満額回答が相次ぐ。トヨタ自動車はベースアップと定期昇給を合わせて最大2万1580円の賃上げで6年連続の満額回答。ホンダや日産も満額回答。電機大手では労働組合がそろってベア1万8000円を要求していてパナソニックや日立などが満額回答。鉄鋼大手3社はベア1万5000円の要求に対して要求には届かず。49社中6割超の32社で満額以上の回答

今回のFOMCでは、ホルムズ海峡封鎖による原油高の影響がどこまで出るか不透明として、金利は現状維持となりました。市場は現在、ホルムズ海峡問題に動かされており、当初は「すぐ解決する」という楽観論で持ち直す場面もありましたが、徐々に長期化するとの見方が広がって株価の上値が重くなっています。
かつては雇用の安定を最優先としていたFRBですが、今回はモノの価格(インフレ)を重視する姿勢を見せています。原油高があらゆる物価を押し上げることは明らかですが、FOMCはいつも対応が後手に回る傾向があり、今回も手遅れになる可能性があります。今回のインフレはディマンドプルインフレ(需要起因)ではなく、コストプッシュインフレ(供給コスト起因)であるため、FRBが金利政策だけで舵取りするのは難しいでしょう。個人的には、①インフレが徐々に上昇して利上げに転じるシナリオ(ドル高)か、②一気にインフレが来て景気後退→急速な利下げに転じるシナリオ(ドル安)のいずれかになると見ています。
FRB議長の任期が5月に満了し、後任はウォーシュ氏と見られていますが、パウエル議長は自身への捜査が完全に終わるまで理事として残る意向を示しています。トランプ大統領は利下げを強く望んでいるだけに、今後どのような行動に出るかが注目点です。
カタールの天然ガス施設への攻撃については、「イランによるミサイル攻撃」と発表されましたが、本当にイランが攻撃したのかどうか疑問が残ります。アメリカ・イスラエルが攻撃しておきながらイランの仕業に見せる、いわゆる「偽旗作戦」の可能性も否定できません。戦争が終結してもホルムズ海峡問題は別の文脈で続く可能性があり、世界的な景気後退や覇権の移行が進みつつある今、投資家としても大きな視点を持っておくことが重要です。
大手企業では賃上げの満額回答が相次いでいますが、中小企業にはその余裕がないところも多く、賃金格差はますます拡大しています。優秀な人材が大手に集中し、様々な格差が広がっている状況です。インフレに対応できる賃上げを受けているのは一部にすぎず、多くの人の実質賃金は低下しています。その結果、消費が落ち込み、企業の売上も伸び悩み、デフレスパイラルのリスクが高まっています。
こうした状況で日銀が利上げ方向にあることも懸念材料です。次の利上げで日本経済がどの程度耐えられるのかが見ものです。ゴールドが調整局面を迎えているので、景気後退が本格化するまでの間、少額ずつ積み立てていくのが良いタイミングかもしれません。
今週のまとめと投資家へのポイント
【今週の3大テーマ】
①ホルムズ海峡危機:米軍のイラン空爆で事態が激化。原油価格が高騰し、石油化学・輸送・製造業など幅広いセクターに影響が波及しています。短期的には買い控えが賢明ですが、危機が収束した際の反発局面に備えて割安銘柄をウォッチしておくことが重要です。
②FOMC金利据え置き:コストプッシュ型インフレに対してFRBの手詰まり感が鮮明です。年内の利下げ期待は維持されていますが、予断を持たずシナリオを複数想定して備えましょう。
③春闘満額回答と格差拡大:大手企業の賃上げは日本経済のプラス材料ですが、恩恵を受けるのは一部にとどまります。日本の実体経済には引き続き注意が必要です。
【田中家のポートフォリオ方針】
・ゴールド/コモディティ:調整局面を利用して少額積み立て継続
・アメリカ株:過度な集中を避け、分散先(他通貨建て資産・新興国・コモディティ)を検討
・石油化学株:ホルムズ問題の動向を注視しながら、解決後の反発を狙う
・戦略17分野(AI・防衛・エネルギー等):中長期的な政府投資の恩恵を受ける銘柄に注目
毎週の市場動向や田中家の投資判断の詳細は、ブログの他の記事もあわせてご覧ください。気になる点はコメント欄でお気軽にどうぞ。来週もよろしくお願いします!


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