今回は、アンソロピックがIPOに向けた目論見書を公開し、巨額のAI先行投資と赤字の規模が明らかになりました。メタの最大15兆円の資金調達や、スペースXの6.3兆円のGPU調達など、AIインフラへの投資が一段と加速しています。
ほかにも、マイクロソフトの最大6万人の希望退職、メッカ防衛同盟とイランの協議、ブラジル株の急落、ダラス連銀の製造業景況感、ペロブスカイト太陽電池の量産支援、フーシ派によるサウジ攻撃をまとめます。前回の市況は10月26日の記事もあわせてどうぞ。
この記事でわかること
- アンソロピックのIPO目論見書でわかった売上高・投資額・赤字の規模
- メタとスペースXが進めるAIインフラへの巨額投資
- マイクロソフトの希望退職と、中東・ブラジルの動き
- ダラス連銀の製造業景況感とペロブスカイト量産の官民支援
- 日経平均の200日移動平均線と、中東情勢・選挙をめぐる筆者の見方
| 項目 | 10月27日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| アンソロピック | 上半期の売上高163億ドル(前年の13.6倍) | 807億ドルの最終赤字、11月にも上場か |
| メタ | 最大15兆円の資金調達へ | エヌビディアなど3社が普通株の購入意向 |
| スペースX | 6.3兆円でGPUのリース契約 | 過去最大規模のGPU調達 |
| マイクロソフト | 最大6万人の希望退職を募集 | AIの普及に合わせた組織の再構築 |
| ブラジル | 株式市場が一時取引停止、レアルは一時12%安 | ルラ大統領の再選で投げ売り |
| 米ダラス連銀製造業景気指数 | 13.4(前月から3.6ポイント上昇) | 低下予想に反して改善 |
アンソロピック IPO目論見書 巨額AI先行投資
今年上半期の売上高は163億ドルで、1年前の13.6倍
AIインフラへの投資額は前年比351倍の172億ドルで、最終赤字は807億ドル
11月にも上場し、1000億ドル(約15兆円)を調達か
実現すればスペースXを上回る史上最大のIPO
幹事証券団にはみずほフィナンシャルグループと三菱UFJ傘下の証券会社が加わり、日本の投資家からも資金を調達
※IPO(新規株式公開):未上場の会社が株式を証券取引所に上場し、広く投資家から資金を集めること。アンソロピックの赤字は10月21日の記事でも取り上げています。
メタ AI加速 最大15兆円調達へ
普通株と優先株をあわせて350億ドル、議決権のない新株を600億ドル発行
エヌビディア・AMD・ブロードコムが普通株50億ドルの購入意向
今年通期の設備投資は最大1450億ドルの見込みで、今回の資金調達でAI分野の継続的な成長を支える方針
スペースX AI半導体調達に6.3兆円
6.3兆円でエヌビディア製GPUのリース契約を締結
アポロ・グローバル・マネジメントが運営する企業がGPUを購入し、スペースXにリースする仕組み
過去最大規模のGPU調達契約
AIインフラ投資の加速を背景に、1年未満での投資回収を見込む
※GPU(画像処理半導体):大量の計算を同時にこなせる半導体で、AIの学習や運用に欠かせない部品。
マイクロソフト 希望退職を募集 最大6万人
AIの普及に合わせた組織再構築の一環として、大規模な人員削減を検討
希望退職の対象は米・カナダ・インド・英の一部部門の約6万人
社外でキャリア形成を図る社員には、早期退職の優遇措置を講じる見通し
メッカ防衛同盟 イランと協議
加盟国のサウジ、トルコ、パキスタンの高官がイランのペゼシュキアン大統領らと会談
ペゼシュキアン大統領は、イスラム諸国は脅威に対して団結すべきだと主張
サウジ外務省は、今回の協議の目的を米とイランの仲介の支援と説明
出典:サウジ通信(SPA)
ルラ大統領再選 ブラジル株急落で取引一時停止
通貨レアルも対ドルで一時12%下落
右派のボルソナロ氏の勝利を見越した買いが先行していたため、投げ売りが拡大
米ダラス連銀製造業景況感 予想外の改善
ダラス連銀が発表した10月の製造業景気指数は13.4で、低下を見込んでいた市場予想に反し前月から3.6ポイント上昇
先行きを示す指数は17.3ポイント上昇の38.1
項目別では、新規受注が21.4ポイント低下の9.3と大きく落ち込み、生産は13.7ポイント、雇用は3.5ポイントの低下
※ダラス連銀製造業景気指数:テキサス州の製造業の経営者に景況感を聞く調査。0を上回ると「改善した」と答えた企業が多いことを示す。
出典:ダラス連銀(Texas Manufacturing Outlook Survey)
ペロブスカイト 官民で量産へ 国がリコー・長州産業に補助金1000億円
次世代太陽電池「ペロブスカイト」の量産に官民が始動
政府はリコーと長州産業に4年でおよそ1000億円を拠出し、普及に向けて規制も緩和
日本が原材料や技術で競争力をもつ製品が量産段階へ
※ペロブスカイト太陽電池:薄くて軽く、曲げられる次世代の太陽電池。主な原料のヨウ素は日本が世界有数の産出国。
親イラン組織フーシ派 サウジの空港やパイプライン攻撃か
サウジ政府は攻撃を確認しておらず、被害状況は不明
フーシ派の報道官が連日サウジの空港への攻撃に言及し、緊張が継続
国際会議の延期が決まり、サッカーのアジア大会の開催を危ぶむ声も
考察
日経平均は200日移動平均線で反発

日経平均はAI需要を受けて反発。
アンソロピックのIPOで巨額のAI投資が明らかになり、メタもスペースXも投資を加速している。地政学リスクや金利上昇が重しにはなっているが、それでもAI需要で業績は強いと市場は好感しているのか。
日経平均は心理的節目の200日移動平均線を死守して反発できたことが大きい。ここをサポートにして、再び上昇相場に戻ってもらいたい。
※200日移動平均線:過去200営業日の終値の平均を結んだ線で、長期のトレンドを見る目安。詳しくは移動平均線の解説記事、下値の支えになる価格帯の考え方はサポートラインの解説記事で解説しています。
中東情勢と原油価格が上昇相場の重し

イランとの協議で、サウジアラビアは仲介を支援する目的としているが、イランはイスラム諸国は脅威に対して団結すべきだと対抗姿勢を見せている。これに対してフーシ派はサウジアラビアへの攻撃を続けている。
中東情勢で原油価格が左右されている。この原油価格の重しさえ取り除くことができれば、AIバブルはさらに勢いを増して次の上昇相場に移行するのだが、なかなか難しそう。
イスラエルの選挙とアメリカの中間選挙の結果次第で、中東情勢が解決するのか再燃するのかが喫緊の課題。不透明感で株価は軟調だが、霧が晴れたら年末ラリーが始まるのか。
※年末ラリー:年末にかけて株価が上がりやすいとされる季節的な傾向。相場が上昇と下落をくり返す流れは相場サイクルの解説記事で解説しています。
欧州のデモは日本にとっても他人事ではない

欧州ではフランスのデモなど、政権に対する不満があらわになっている。日本も遠い国のことだと思わず、与党が外国人を受け入れる方針を明確にしていることから、危機感を持たなければならない。
問題が現実になった時にはもう遅い。欧州では若い人が行動して大規模なデモに発展している。
日本では、これからの若い人が行動する前に、大人が責任を持ってちゃんとした政治をしてくれる政党に投票して変えていかなければ、欧州みたいになる未来が待っている。
※フランスのデモは10月26日の記事で取り上げています。
まとめ
10月27日は、アンソロピックのIPO申請をきっかけに、AIインフラへの巨額投資があらためて注目された一日でした。
- アンソロピックは上半期の売上高が前年の13.6倍に伸びる一方、807億ドルの最終赤字で、11月にも上場する可能性があります
- メタは最大15兆円、スペースXは6.3兆円をAIインフラに投じ、投資競争が加速しています
- 日経平均は200日移動平均線で反発し、ここが下値の支えになるかに注目しています
- 中東情勢と原油価格、イスラエルとアメリカの中間選挙の結果が、年末ラリーの行方を左右しそうです
次の焦点は、あす10月28日に結果が出る日銀の金融政策決定会合です。引き続きこのブログでまとめます。
※本記事は筆者個人の見解をまとめたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

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