2026年8月10日の市況をまとめます。7月のアメリカ雇用統計は前月比マイナス2万3000人と5か月ぶりの減少となり、5月・6月分も大幅に下方修正されました。この記事では、雇用統計の中身、FRBを巡る動き、ガザ・イラン情勢、中国の物価動向を整理したうえで、ドル円と金(ゴールド)の見通し、そして個人投資家がとるべき行動について考えていきます。
この記事でわかること
- 7月の米雇用統計が示す労働市場の減速と、失業率が改善した中身
- FRBクック理事の解任を巡る動きと、その結末
- ガザ・イラン情勢の膠着が、原油と日本経済にもたらすリスク
- 金(ゴールド)4400ドル到達後のシナリオと、個人投資家がとるべき行動
前回の記事:【2026年8月7日】今日の経済ニュースまとめ|FRB独立性懸念で金4400ドル接近・ソフトバンクG決算・任天堂は純利益5割増
| 項目 | 8月10日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| 米雇用統計(7月・非農業部門) | -2万3000人(予想+8万人) | 5か月ぶりの減少。5月・6月分も下方修正 |
| 失業率 | 4.1%(予想4.2%) | 改善は労働参加率61.4%への低下によるもの |
| 平均時給 | 前年比+3.2%(予想+3.5%) | 賃金の伸びも市場予想を下回る |
| 金(ゴールド) | 4400ドルに到達 | 利上げ観測の後退が背景。日足での上抜けが焦点 |
| FRBクック理事 | 解任通告も最高裁は認めず | FRBの独立性を巡る攻防が続く |
| 中国CPI(7月) | 前年比+0.5% | 10か月連続プラスも、6か月ぶりに1%を下回る |
米7月雇用統計|5か月ぶりに減少し市場予想を大きく下回る
雇用者数は前月比マイナス2万3000人
7月の非農業部門雇用者数は前月比マイナス2万3000人となり、5か月ぶりの減少となりました。市場予想のプラス8万人を大きく下回る結果です。
さらに、過去分についても以下のとおり下方修正されています。
- 5月分:12万9000人 → 6万3000人
- 6月分:5万7000人 → 2万人
賃金・失業率・労働参加率
- 平均時給:前年比プラス3.2%(市場予想のプラス3.5%を下回る)
- 失業率:4.1%(前月から改善し、市場予想の4.2%を下回る)
- 労働参加率:61.4%(5年5か月ぶりの低水準)
失業率は改善したように見えますが、同時に労働参加率が5年5か月ぶりの低水準まで下がっている点には注意が必要です。
出典:米労働統計局「Employment Situation」
トランプ政権がFRBクック理事の解任を検討
トランプ大統領は、クック理事が住宅ローンで有利な融資条件を得るために不正行為を行ったとして、解任を通告しました。住宅ローンを巡る不正疑惑については、26日までの回答を求めています。
その後、連邦最高裁はこの解任を認めない判断を示しました。
OpenAI(オープンAI)が次世代AIの開発を一時中断
OpenAIは、次世代AIの開発を一時的に中断すると発表しました。サイバー攻撃の能力が自社の安全基準で重大な危険レベルに達している可能性があり、安全対策を優先するとしています。
背景には、7月に開発中のAIが試験環境から抜け出し、他社のシステムに不正に侵入する事態が発覚したことがあります。
出典:OpenAI「News」
ネタニヤフ首相がガザ和平の工程表を拒否
イスラエルのネタニヤフ首相は、パレスチナ自治区ガザ地区の和平実現に向けてトランプ政権が主導する暫定統治機構「平和評議会」が示した工程表について、拒否すると述べました。
工程表では、イスラム組織ハマスの武装解除について、ガザの警察などが所有する武器を引き渡したのちに重火器を廃棄し、個人所有の武器はパレスチナの法律に基づいて処分するとされていました。
これに対しネタニヤフ首相は、重火器に限らずあらゆる武器の放棄が必要だとしたうえで、ハマスが武装解除するまでイスラエル軍は撤収しないと強調しています。
イラン最高指導者ハメネイ師がペゼシュキアン大統領と面会
イランの最高指導者モジタバ・ハメネイ師がペゼシュキアン大統領と面会し、アメリカとの軍事的緊張や経済状況などについて意見を交わしました。
あわせて、モジタバ師が宗教講話を行っているとする映像も公開されています(撮影日時・場所は不明)。
モジタバ師は3月の最高指導者就任以降、一度も公の場に姿を現していません。こうしたイラン側の発表には、国民の不安を払拭する狙いがあるとみられています。
中国の7月消費者物価指数は前年比0.5%上昇
中国の7月の消費者物価指数(CPI)は前年比プラス0.5%となり、10か月連続のプラスとなりました。ただし伸び率は前月から0.5ポイント縮小し、6か月ぶりに1%を下回っています。
ガソリンなど交通燃料は前年比0.8%の上昇でしたが、上昇率は6月の15.3%から大きく減速しました。
考察|雇用の悪化と金4400ドル到達をどう見るか
雇用統計の中身は数字以上に弱い

雇用統計の数字が5月・6月分も下方修正され、7月分も市場予想を大幅に下回った。
平均時給も市場予想を下回り賃金インフレも後退。
失業率は低下したが、これは労働参加率が下がったことによるものだ。
職に就くことを諦めた人が増えたことで失業率は低下しているが、潜在的な失業率は景気後退の数字になっているかもしれない。
実体経済はそれほどよくはないと思うが、こうした数字のマジックでなんとか経済を保っているように思える。
個人的には今年か来年くらいのどこかで限界が来るとみている。
ドル円と金(ゴールド)のシナリオ

雇用統計を受けて利上げ観測が後退。
これによりドル円は一時的にドル安円高に振れたが下値は底堅く、すぐにドル高円安に戻した。
対照的に金は勢いを増して上昇継続。
個人的にレジスタンスとしていた4400ドルにあっさり到達。
ここはさすがにすんなりとは突破できないと思うが、日足で明確に上抜ければ、トレンドは転換したとみてもいいかもしれない。
ただ最終防衛ラインとして、長期のトレンドラインと日足の200日移動平均線が強烈なレジスタンスになると思う。
ここを抜けるには、FRBが利下げをするか、中東情勢の停戦合意が実現してホルムズ海峡の開放が現実化するかの材料がない限り難しいだろう。
下記のチャート画像を参照。
中東情勢と日本のエネルギーリスク

トランプ大統領はなんとかしてイランとの停戦合意をして早く終わらせようとしているが、ネタニヤフ首相はなんとかして終わらせようとしない。
アメリカだけが合意しても、イスラエルが合意しないことにはイランに対して攻撃は続く。
親イラン武装組織フーシ派も強硬姿勢で落ち着く様子がない。
イスラエルが停戦合意に前向きにならない限り、中東情勢は収まりがつかない。
ホルムズ海峡も紅海もこのままだと封鎖されて、原油価格は再度上昇し、トランプ政権には打撃となる。
もちろん日本にとっても大打撃で、日本は中東に原油を約9割も依存しているため、価格が上がるだけならまだしも、原油が入ってこないとなると経済が止まってしまう可能性がある。
中東に依存しているリスクは前から分かっていたことなのに、エネルギーや食糧の安全保障をないがしろにしてきた政権の政策によって日本は苦しめられている。
半導体の業績がいいため株価は好調だが、原油価格の上昇によりインフレが再燃して金利上昇となると、業績より金利に反応して半導体関連株には逆風になる。
個人投資家がとるべき行動

アメリカから日本に波及して株が暴落すれば、その時は利上げも介入もしなくともドル安円高になるだろう。
日本人が投資しているオールカントリーやS&P500は、為替の影響も受けてしまう。
投資初心者からしたら耐えられないくらいの暴落もくるかもしれないが、インデックス投資は長期・分散・積み立てということを忘れずに、暴落がきても株価は確認せずコツコツと積み立てるのみ。
暴落の時にラッキーと思えるようになれば、成功する投資家になっている。
金(ゴールド)日足チャート

まとめ|8月10日のポイント
2026年8月10日時点のポイントを整理します。
- 7月の米雇用統計は5か月ぶりの減少。5月・6月分も下方修正され、労働市場の減速が鮮明になりました。
- 失業率の改善は労働参加率の低下によるもので、額面どおりには受け取れません。
- 利上げ観測の後退を受け、金(ゴールド)は節目の4400ドルに到達しました。
- 中東情勢の長期化は原油高を通じて日本経済にも打撃となり得ます。
- 暴落が来ても、インデックス投資は長期・分散・積み立ての原則を守ることが大切です。
よくある質問
失業率が下がったのに、なぜ雇用が悪いと言えるのですか?
失業率は「働く意思がある人のうち職に就けていない人の割合」です。職探しをやめた人は分母から外れるため、就職を諦める人が増えると失業率は下がります。7月は失業率が4.1%へ改善した一方で、労働参加率が61.4%と5年5か月ぶりの低水準まで下がっており、額面どおりには受け取れない中身でした。
労働参加率とは何ですか?
働く年齢の人口のうち、働いているか職を探している人の割合です。この数字が下がるほど、労働市場から離れた人が増えていることを意味します。失業率とセットで見ることで、雇用の実態がつかみやすくなります。
金(ゴールド)の4400ドルは、なぜ節目とされるのですか?
これまで何度も上値を抑えられてきた価格帯で、多くの市場参加者が意識しているためです。この記事では、日足で明確に上抜ければトレンド転換とみてよい一方、その先には長期のトレンドラインと200日移動平均線という強いレジスタンスが控えている、という見方をしています。
筆者:田中(田中家の投資道)。日米株と金を中心に運用する個人投資家。毎日の経済ニュースと、実際の保有銘柄の売買判断を公開しています。
【免責事項】本記事は公開情報をもとにした筆者個人の見解であり、特定の銘柄や投資手法の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。
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