今回は、アメリカの9月の雇用統計が市場予想を大きく下回り、今月末のFOMCでの追加利上げ観測が後退しました。原油高への対策としてG7が石油備蓄1億バレルの放出を決める一方、世界の食料価格は約3年10カ月ぶりの高水準に上がっています。
中東の産油国による石油備蓄への協力や、OPECプラスの生産枠の据え置きなど、エネルギーをめぐる動きも相次ぎました。この記事では主なニュースと、それを受けて私がどう考えたかをまとめます。前回の市況は10月1日の記事もあわせてどうぞ。
この記事でわかること
- 米雇用統計が予想を下回った中身と、利上げ観測への影響
- G7の石油備蓄1億バレル放出と、ディーゼル燃料をめぐる動き
- 世界の食料価格が約4年ぶりの高水準になった理由
- サウジ・UAEのアジア石油備蓄への協力とOPECプラスの決定
- 日経平均と任天堂の売買方針
| 項目 | 10月5日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| 米9月雇用統計(非農業部門雇用者数) | 2万9000人増 | 市場予想の9万人増を大きく下回る |
| 米失業率 | 4.2% | 前月の4.1%から悪化。利上げ観測が後退 |
| G7の石油備蓄放出 | 1億バレルを4カ月かけて放出 | 最初の20日間で軽油を前倒しで放出 |
| 世界食料価格指数 | 136.0ポイント | 約3年10カ月ぶりの高水準。砂糖・穀物が上昇 |
| OPECプラス有志7カ国 | 11月の生産枠を据え置き | 据え置きは2カ月連続 |
| 日経平均 | 終値で直近高値の69,608円を上回る | 今週は最高値を目指す展開に |
米雇用統計 予想下回る
9月の非農業部門雇用者数は前月比2万9000人増と、市場予想の9万人増を大きく下回る結果
失業率は4.2%と、前月の4.1%から悪化
平均時給は前年比3.0%増と、小幅な減速
労働市場の減速が示され、今月末のFOMC(連邦公開市場委員会)での追加利上げ観測が後退
※非農業部門雇用者数:農業以外で働く人の数が前月からどれだけ増えたかを示す数字で、雇用統計の中で最も注目されます。FOMCの利上げについては9月17日の記事で取り上げています。
G7石油備蓄1億バレル放出へ
G7首脳のオンライン会合で、複数の製油所の同時停止を防ぐ対策などを協議
特にディーゼル燃料(軽油)の精製能力の増強について意見交換
IEA(国際エネルギー機関)を通じて、4カ月かけて計1億バレルを放出
最初の20日間で、まとまった量のディーゼル燃料を前倒しで放出
出典:The National
食料価格 3年10カ月ぶり高水準
FAO(国連食糧農業機関)の世界食料価格指数は前月比1.5%上昇の136.0ポイントで、2022年11月以来の高水準
前月から砂糖の価格が6.1%、穀物の価格が5.1%上昇
ホルムズ海峡・黒海の物流の混乱や天候不順などで、主要食品の価格に上昇圧力
サウジ・UAE アジア石油備蓄に協力へ
サウジアラビアとUAEがAZEC(アジア・ゼロエミッション共同体)の閣僚会合に参加し、加盟国の石油備蓄に協力する方針を表明
会合の成果は共同声明にまとめられ、具体的な内容は今後2国間で協議
加盟国への輸出拡大や、有事の際の優先供給などを想定
※AZEC:日本が主導する、アジアの脱炭素とエネルギーの安定供給をめざす国際的な枠組みです。
OPEC有志国 生産枠維持
OPECプラスの有志7カ国は11月の原油生産枠の維持を決定
据え置きは2カ月連続
生産枠は日量約3100万バレルで、世界需要の約3割
※OPECプラス:OPEC(石油輸出国機構)にロシアなどの産油国が加わった枠組みです。原油高と金利の関係は9月15日の記事で取り上げています。
出典:The National
考察
雇用統計の結果と利上げ観測

アメリカの雇用統計の結果は、市場にとって最高に近い形だった。
雇用は少し悪化し、賃金の伸びも鈍化。
賃金インフレが落ち着くことでインフレが鈍化し、労働市場も弱くなってきたことで利上げ観測が後退。
今は景気後退懸念よりも、少しでも景気が悪くなって利上げ観測が後退する方が望ましい。
あとは中東情勢と原油価格次第。
原油価格とイラン情勢のリスク

原油価格は、G7の石油備蓄1億バレル放出やOPEC有志国の生産枠維持で短期的には下押し要因だが、効果は限定的。
相場の方向を最終的に決めるのはホルムズ海峡情勢。
イランの強硬派で、最高安全保障会議の事務局長を務めるレザイ氏が、イラン国内の経済は非常に深刻な危機にあると発言。
アメリカもインフレで経済が弱くなっているが、AIの恩恵で何とか保っている。
イランはそろそろ限界が近く、アメリカの中間選挙までもつのか。
その前に強硬姿勢から軍事行動に発展し、再戦することになれば、原油価格はさらに上昇し、インフレも金利も上昇する。
景気後退なんて生易しいものではなく、歴史に名を残すような暴落が来ることも頭の片隅に置いて、アセット・アロケーションとポートフォリオを自分の許容範囲内で調整しておきたい。
※アセット・アロケーション:株式・債券・金・現金などに、資産をどのような割合で配分するかを決めること(資産配分)です。イラン情勢は9月28日の記事でも取り上げています。
日経平均と任天堂の売買方針

日経平均が終値で直近高値の69,608円を超えて終わったことで、今週は最高値を目指していきそう。
アメリカのCPIの結果次第では最高値までいきそうだが、今は打診買いしているポジションを持ったまま最高値を目指す。
割安だと思っていた任天堂は、業績を見れば割安ではないが、落ちてきたところは拾っていきたい。
現在は含み損になっているが、テクニカル的には割安に見えるので、個人的にはまた少しずつ買っていく。
※CPI(消費者物価指数):アメリカの物価の動きを示す代表的な指標で、FRBの利上げ判断を左右します。前回のCPIは9月14日の記事、69,600円の目標は10月1日の記事で取り上げています。
まとめ
10月5日は、アメリカの雇用の減速で利上げ観測が後退する一方、原油や食料の価格高騰への対策が相次いだ一日でした。
- 米雇用統計は予想を大きく下回り、今月末のFOMCでの追加利上げ観測が後退しました
- G7は石油備蓄1億バレルの放出を決めましたが、効果は限定的で、原油の行方はホルムズ海峡情勢次第と考えています
- 世界の食料価格は約3年10カ月ぶりの高水準です
- イラン情勢が再び悪化した場合の暴落リスクに備え、ポートフォリオを調整しておきたいと考えています
- 日経平均は直近高値を上抜け、打診買いのポジションを持ったまま最高値を目指します
次の焦点は、10月14日に発表される米CPIです。引き続きこのブログでまとめます。
※本記事は筆者個人の見解をまとめたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いします。
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