今回は、アメリカの8月のPCE物価が市場予想を下回り、4-6月期のGDPも上方修正されるなど、景気の底堅さと物価の落ち着きが同時に確認されました。AI向けメモリーが好調なマイクロンの決算も、AI相場の強さをあらためて示しています。
一方で、日米ともに住宅ローン金利の上昇が続き、長期金利の高止まりも気になるところです。この記事では主なニュースと、それを受けて私がどう考えたかをまとめます。前回の市況は9月28日の記事もあわせてどうぞ。
この記事でわかること
- 米PCE物価が予想を下回った中身と、GDPの上方修正
- マイクロンの好決算とAI相場の行方
- 日米で上がり続ける住宅ローン金利
- 鉱工業生産・韓国の対米投資・米軍のイラク撤収など国内外のニュース
- 日経平均の売買ポイントと、長期金利が下がらない理由
| 項目 | 10月1日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| 米8月PCE物価 | 前年比3.4%上昇(コア3.0%) | 市場予想を下回り、物価の落ち着きを示す |
| 米4-6月期GDP確定値 | 前期比年率2.2%増 | 個人消費とAI関連投資がけん引し上方修正 |
| マイクロン | 売上高4.8倍・純利益11.8倍 | AI向けメモリーが好調。次の四半期も強気の見通し |
| 米9月ADP雇用 | 9万人増 | 市場予想の7万人増を上回る |
| 米住宅ローン金利(30年固定) | 7.3% | 約3年ぶりの高水準で申請件数が減少 |
| 国内の住宅ローン変動金利 | 大手3行が引き上げ | 日銀の利上げで今後も上がる見通し |
米PCE物価 予想下回る GDPは上方修正
8月のPCE(個人消費支出)物価指数は前年比3.4%上昇で、市場予想の3.7%を下回る水準
食品とエネルギーを除くコア指数は3.0%上昇で、こちらも市場予想の3.3%を下回る結果
パソコンソフトなど一部項目の推計方法の改定も下押し要因に
4-6月期の実質GDP確定値は前期比年率2.2%増と、大幅な上方修正
個人消費の底堅さとAI関連の設備投資がけん引
※PCE物価指数:アメリカの個人が買うモノやサービスの価格の動きを示す指標で、FRB(米連邦準備制度理事会)が物価の目安として最も重視しています。FRBの利上げについては9月17日の記事で取り上げています。
マイクロン純利益12倍
AI向けHBMの販売に支えられ、6-8月期の売上高は前年同期比4.8倍、純利益は11.8倍と大幅な伸び
9-11月期の見通しは売上高615億ドル前後、売上総利益率(調整後)86.25%と、旺盛な需要を背景に強い価格決定力の継続を示唆
※HBM(広帯域メモリー):AI向け半導体の処理を支える高速なメモリーで、生成AIの普及で需要が急増しています。売上総利益率は、売上高から原価を引いた利益が売上に占める割合です。
米民間雇用9万人増
9月のADP雇用報告は前月比9万人増と、市場予想の7万人増を上回る結果
教育・医療、レジャー・接客業が全体をけん引
金融、専門職・ビジネスサービスは減少
ADPは「雇用は回復し、賃金の伸びも堅調」との評価
※ADP雇用報告:給与計算代行大手のADPが公表する民間雇用の統計です。政府の雇用統計の直前に出るため、その前哨戦として注目されます。
出典:UPI
AI暴走 米規制当局が調査開始
日本の公正取引委員会にあたるFTC(連邦取引委員会)が、オープンAIやアンソロピックなど大手AI企業の調査を開始
AIによる意図せぬサイバー攻撃などが、消費者保護に関する法令に抵触した可能性
出典:PYMNTS
米住宅ローン金利 約3年ぶりの高水準
30年固定金利は9月25日までの1週間で7.3%と、2023年11月以来の高水準
住宅ローンの申請件数は前週比6%減
金利が約3年ぶりの水準となり、借り手は様子見姿勢を強める
※アメリカの住宅市場の動きは9月18日の記事でも取り上げています。
出典:HousingWire
アルファベット 新AI「Gemini 4 Argon」発表
グーグルの親会社アルファベットが、最新AIモデル「Gemini 4 Argon(アルゴン)」を発表
サイバーセキュリティーなど、高度な能力が求められる分野に対応
社内ではすでにアルゴンが活用され、高度なリサーチなどで強みを発揮
出典:Google
大手3行が住宅ローン変動金利を引き上げ
みずほ銀行・三井住友信託銀行・りそな銀行が、10月適用の住宅ローン変動型金利を引き上げ
最優遇金利はみずほが1.275%、三井住友信託が1.7%、りそなが1.25%
日銀が9月にも政策金利を引き上げたため、12月~2027年春にかけてさらに上昇の見通し
※最優遇金利:銀行が条件のよい借り手に適用する、最も低い金利のことです。
8月鉱工業生産1.7%低下
8月の鉱工業生産指数は前月比1.7%低下の102.6で、2カ月連続の低下
熊本地震に伴う自動車部品工場の停止などで、自動車生産が減少
生産の基調判断は「一進一退」で据え置き
※鉱工業生産指数:工場などの生産量の動きを示す指標で、2020年を100としています。
出典:経済産業省 鉱工業指数
韓国対米投資31.5兆円
対米投資計画は、原発8基の建設、テキサス州の発電施設、アラスカ州のLNG開発(500億ドル超)が柱
11月の中間選挙を前に、トランプ大統領は巨額の投資計画で実績をアピール
米軍 イラクから撤収完了
過激派組織「イスラム国」(IS)の掃討作戦が終了
2014年から12年続いた駐留に幕
イラクではイランが支援する民兵組織が勢力を強めており、米軍の不在でイランの影響力が拡大する可能性も
※イラン情勢は9月28日の記事で取り上げています。
考察
AI相場と日経平均の売買ポイント

アメリカのPCE物価は低下し、GDPは大幅に上方修正。
景気は底堅く、物価も落ち着いてきて最高の状態。
そんな中、利上げ観測も後退し、マイクロンの業績は物凄いことに。
まだまだAI相場は続いていきそう。
この流れに乗って、日経平均は短期的に底をつけ、トレンドラインを上にブレイクして上昇(下記チャート参照)。
67,000円を超えたところで打診買い。
次のターゲットは69,600円。
ここを上に抜ければ、最高値の72,800円を目指す展開に。
今週の雇用統計の結果次第で、最高値を目指していけるかが決まりそう。

※トレンドライン:高値同士や安値同士を結んだ線で、上抜け・下抜けが相場の転換のサインになります。詳しくはトレンドラインの記事で解説しています。打診買いは、本格的に買う前に少しだけ買って様子を見ることです。
利上げ観測が後退しても下がらない長期金利

少し違和感があるのは長期金利。
利上げ観測が後退しても、長期金利は低下しない。
利上げで影響を受けるのは短期金利で、長期金利の投資家はインフレが長期的には落ち着かないとみている。
地政学リスクで原油価格やディーゼル価格が下がらないため、いくら中央銀行が金利を操作してもこれらの価格は抑えられないと見ているのでは。
ただ、長期金利がこれだけ高いにもかかわらず半導体関連の株価が下がらないのは、それ以上に業績がいいから。
中東情勢が落ち着けば、最後の大相場がやってきてもおかしくはない。
今日は、米国の著名投資家ジョン・テンプルトンの相場格言で締めくくりたい。
「強気相場は、悲観の中に生まれ、懐疑の中で育ち、楽観の中で成熟し、幸福感の中で消えていく」
現時点では、まだ「懐疑の中で育っている」段階なのかもしれない。
※長期金利:10年物国債の利回りが代表で、将来の物価や景気の見通しを反映しやすい金利です。短期金利は中央銀行の政策金利の影響を強く受けます。長期金利の上昇が続く背景は9月15日の記事で取り上げています。
まとめ
10月1日は、アメリカの物価の落ち着きと好調な企業業績が確認される一方、金利の高止まりも意識された一日でした。
- 米PCE物価は予想を下回り、GDPも上方修正されるなど、景気は底堅い状況です
- マイクロンの好決算から、AI相場はまだ続くと考えています
- 日経平均はトレンドラインを上抜け、67,000円超えで打診買い。次のターゲットは69,600円です
- 利上げ観測が後退しても長期金利が下がらない点には注意が必要です
- 日米ともに住宅ローン金利の上昇が続いています
次の焦点は、今週発表される米雇用統計です。引き続きこのブログでまとめます。
※本記事は筆者個人の見解をまとめたものであり、特定の金融商品の売買を推奨するものではありません。投資に関する最終的な判断はご自身の責任でお願いします。

コメント