2026年9月2日の相場は、NY原油の急騰と長期金利3%台への上昇が同時に起きた一日でした。米イラン情勢の悪化に加え、米財務長官が日本に事実上の利上げを求める異例の発言をしたことで、日経平均は下落しています。この記事では、その日の重要ニュースと、私が相場をどう見ているかを整理します。
前日の動きはエヌビディア5600億円出資・ホンダ日産SDV協業|2026年9月1日の経済ニュースまとめにまとめています。
この記事でわかること
- NY原油が1バレル=91ドル近辺まで急騰した理由
- 米財務長官が日銀に利上げを要請した背景と、円安への影響
- 長期金利3%到達で日経平均が受ける下落圧力
- 日経平均の下値メド(59,000円)と、サテライト投資での対応方針
前回の記事:エヌビディア5600億円出資・ホンダ日産SDV協業|2026年9月1日の経済ニュースまとめ
| 項目 | 9月2日の結果 | ポイント |
|---|---|---|
| NY原油(WTI) | 1バレル=91ドル近辺へ急騰 | ホルムズ海峡でのタンカー攻撃で供給不安が再燃 |
| 長期金利(新発10年国債) | 一時3.005% 約30年ぶりの3%台 | 日米の利上げ観測と財政不安で債券売りが拡大 |
| 経常利益(4-6月期・全産業) | 前年比+24.6% 過去最高 | 7四半期連続の増益。情報通信機械が全体を押し上げ |
| 米8月ISM製造業景気指数 | 54.6(市場予想55.2を下回る) | 新規受注・生産・雇用が減速も、節目の50は維持 |
| ユーロ圏8月CPI | 前年比+3.3% 3年ぶりの高水準 | エネルギー価格の大幅上昇が背景 |
| 日経平均 | 下落 下値メドは59,000円 | 原油高と金利上昇が重なり調整圧力が強まる |
NY原油が急騰 米イラン緊張でWTIは91ドル近辺へ
米イランの緊張が再燃し、原油価格が一段高となりました。
- サウジアラビア産の原油を積んだ大型タンカー2隻がホルムズ海峡で攻撃を受け、WTI原油先物は1バレル=91ドル近辺まで上昇
- 中国とロシアが主導する上海協力機構(SCO)首脳会議で、イランの主権や領土保全を支持する「ビシケク宣言」に署名したことも上昇材料に
- プーチン大統領はイランのペゼシュキアン大統領と会談し、「物資を今後も供給する」とした
米大統領がイラン攻撃を表明 報復が報復を呼ぶ展開に
原油高の背景にある米イランの応酬は、報復が報復を呼ぶ展開になっています。
- イランがホルムズ海峡への機雷敷設に失敗したことと、ヨルダンの米軍基地へミサイルを発射したことへの報復
- イラン革命防衛隊はヨルダンの米軍基地を再び攻撃
あわせて読みたい:【2026年8月25日】イラン制裁強化とカナダ関税50%|今日の経済ニュースまとめ
米財務長官が日銀に事実上の利上げ要請 円安をけん制
この日いちばんの注目材料が、米財務長官による異例の円安けん制でした。
- ベッセント財務長官「持続可能な成長には過剰生産を押し出すゆがんだ政策ではなく、生産性・イノベーション・投資で公平に競い合うことが不可欠」
- 同「過度な円安対処のため、日本は断固とした市場・金融政策上の措置をすることを強く支持」
- 同「円安が日本国内のインフレ圧力の一因になっている」
- 中国は貿易黒字の一方、米は貿易赤字と財政赤字の双子の赤字に悩まされている
- 米の連邦政府の財政赤字は初めて40兆ドル(約6400兆円)を突破
- ベッセント財務長官は日銀の植田総裁に事実上の利上げを要請
- 片山財務大臣「金融政策の具体的な手法は日銀に委ねられていると日銀法に明記されているので、全くその方針に変わりはない」
円安がなぜ物価高につながるのかは円安・円高ってどういうこと?家計と投資への影響をわかりやすく解説で説明しています。あわせて読みたい:日米が15年ぶり協調介入|円安阻止の思惑と今後の相場【2026年8月3日】
日銀の利上げ観測で長期金利が3% 約30年ぶりの水準
日米の利上げ観測と財政不安から、日本の長期金利がついに3%台に乗せました。
- 新発10年物国債利回りは一時3.005%となり、1996年9月以来の高水準
- 日米の中央銀行が利上げに動くとの観測や財政不安で債券売りが広がる
- 長期金利は住宅ローンや法人向け融資の指標となっており、家計や企業への影響も懸念される
出典:日本銀行「金融政策」/あわせて読みたい:長期金利2.945%|30年ぶり高水準とホルムズ海峡緊迫【8/19市場ニュース】、エヌビディア決算・米PCE・日銀利上げ|2026年8月27日・28日の経済ニュースまとめ
4-6月期は全産業で24.6%増益 経常利益は過去最高
一方で、企業の稼ぐ力は過去最高を更新しています。
- 法人企業統計によると、金融・保険業を除く全産業の経常利益は前年比+24.6%の44兆6668億円となり過去最高
- 7四半期連続の増益
- AIやデータセンター向け需要が好調な情報通信機械が全体を押し上げ
米製造業の景況感が予想を下回る 8月ISMは54.6
米国の製造業には、減速の兆しが見え始めました。
- 8月のISM製造業景気指数は前月比-1ポイントの54.6で、市場予想の55.2を下回る
- 新規受注・生産・雇用の主要な項目で減速が見られたものの、引き続き好不況の節目の50は上回る
- 原材料の価格動向を示す支払価格は高水準に留まる
シェブロンがベネズエラで原油事業拡大へ 2日に契約締結
- シェブロンがベネズエラの原油事業拡大に関する契約を締結へ
- 同社はベネズエラの油田2カ所に数十億ドル規模の投資を行う方針
- エクソンモービルなどは当面静観
ユーロ圏の物価が3年ぶり高水準 8月CPIは前年比+3.3%
ユーロ圏でも、エネルギー高を背景に物価が再び上向いています。
- ユーロ圏の8月の消費者物価指数(CPI)は前年比+3.3%
- エネルギー価格が大幅上昇
出典:Eurostat「Harmonised Indices of Consumer Prices (HICP)」
AI攻撃への警戒でセキュリティー需要が増加
AIを悪用した攻撃への警戒から、セキュリティー関連の需要が伸びています。
- 需要増の背景に、OpenAIのAIが企業システムに不正侵入したことや、Anthropic「ミュトス」の普及への懸念
考察|原油高と金利上昇で日経平均はどこまで下げるか
米イラン情勢とロシア・中国の思惑

アメリカとイランが攻撃の応酬を再開しました。
経済制裁は味方が少なく効果は限定的とみて、攻撃を再開したのでしょうか。
どちらにしてもアメリカは不利に思います。
中国とロシアが主導する上海協力機構(SCO)首脳会議で、イランの主権や領土保全を支持する「ビシケク宣言」に署名したことは、中国とロシアはアメリカではなくイラン側につくと言っているようなものです。
ロシアはイランの巡航ミサイル開発を秘密裏に支援していて、物資も今後も供給するとのことです。
ロシアとイランが手を組めば、石油の供給は両国のさじ加減で価格への影響が大きくなります。
これらを受け、原油価格は三角持ち合いを上にブレイクして上昇しました。
原油高でインフレ懸念や財政不安が強まり、世界の金利は上昇しています。
米財務長官の円安けん制と、日本の立ち位置

そんな中、ベッセント財務長官は日本に対して、過度な円安に対処するため断固とした市場・金融政策上の措置をとることを強く支持しました。
国外から市場や金融政策に口出しをするのは異例です。
それほどアメリカは、日本がこれ以上円安になることでアメリカの国債に悪い影響が出てくるとして、危機感をあらわしています。
本来なら、国外の要人発言に対して政策を決めることになれば独立性に問題があります。
日本はアメリカの言いなりになっていると思われると、アメリカの状況によって影響を受けます。
アメリカと日本は一心同体(アメリカの立場が上)で、ロシア・ウクライナやイラン情勢も日本の意見ではなくアメリカの意見に合わせています。
もしアメリカが世界から見放されるようなことがあれば、日本は世界からもアメリカからも見放されてしまうのではないでしょうか。
ドル離れにより金やコモディティに資金が流れますが、それと同時に円からも資産は離れていくかもしれません。
ヘッジとして日本円は生活資金だけ置いておき、余剰資金は分散して投資しておくのが、これからは大事になってきます。
日経平均のテクニカル|下値メドは59,000円

本日は日経平均が下落しましたが、原油高による金利上昇で住宅ローンや法人向け融資の金利も上がり、国民の生活や会社のお金のやりくりはきつくなります。
日本企業の業績はいいものの、金利上昇が重荷になり株価にとっては下落圧力です。
下のチャートに示すように、日経平均は日足でヘッドアンドショルダーを形成しつつ、週足のフィボナッチ0.618と重要なサポートとなる59,000円を試しにくるように思えます。
日足の200日移動平均線と上昇トレンドライン、そして重要なサポートラインが重なる59,000円まで来たら買い向かいたいですが、ここを割ってしまうと大きく調整しそうです。

※ヘッドアンドショルダー=三つの山(中央がいちばん高い)でできる、代表的な天井のサイン。詳しくはヘッドアンドショルダーとは?三尊天井の見つけ方と目標値の計算で解説しています。
※フィボナッチ0.618=上昇幅の約61.8%を戻した水準で、押し目の目安として意識されやすいポイント。詳しくはフィボナッチとは?押し目買い・戻り売りの目安が分かるテクニカル分析の基本で解説しています。
※サテライト投資=資産の中心(コア)はインデックスで固め、一部の資金だけ個別株や短期売買で狙う考え方。
今の投資方針|まずは様子見、押し目はサテライトで

9月は株式にとって弱い月なので落ちたところは拾っていきたいですが、「落ちるナイフは掴むな」という格言があるように、少なくとも高値・安値が切り上がったことを確認してから買いたいところです。
現時点では様子見ですが、今週の雇用統計とイラン情勢次第では大きく動くと思われるので、動きが出てからでも遅くはありません。
59,000円まで落ちてきたら一旦は反発しそうですが、再度下落してきたときには要注意です。
59,000円で指値をして待っている投資家は多そうです。
インデックス投資は何があろうとひたすらコツコツと続けますが、サテライト投資で落ちてきたところは買っていき、資金を効率よく回して増えた資金はインデックス投資に追加投資していきます。
待つのも相場です。
インデックス投資の考え方はインデックス投資が最強な理由|サルのダーツ投資がプロに勝った衝撃の事実に、雇用統計と金・中東リスクの見方は【2026年8月10日】米雇用統計マイナス2.3万人|金4400ドル到達と中東リスクを読むにまとめています。
まとめ|9月2日のポイント
- 米イラン情勢の緊迫と、ロシア・中国のイラン支持でWTI原油は1バレル=91ドル近辺まで急騰
- 米財務長官が日銀に事実上の利上げを要請し、長期金利は約30年ぶりの3%台へ
- 企業業績は過去最高でも、金利上昇が日経平均の重荷に
- 下値メドは59,000円。反発を確認してからサテライト投資で拾い、インデックス投資はこれまで通り継続
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よくある質問
長期金利が上がると、なぜ株価の重しになるのですか?
国債でも高い利回りが得られるようになると、リスクを取って株を買う魅力が相対的に下がるためです。加えて企業の借入コストも増えます。この日は新発10年物国債の利回りが一時3.005%と約30年ぶりの水準に乗せ、日経平均の下押し要因になりました。
ホルムズ海峡が緊迫すると、なぜ原油価格が上がるのですか?
世界で取引される原油の多くがこの海峡を通って運ばれるためです。通航に支障が出るとの見方が広がるだけで、供給不安から価格が上昇します。この日はタンカー2隻が攻撃を受け、WTI原油先物は1バレル=91ドル近辺まで上昇しました。
米財務長官が日銀に利上げを求めるのは、どういう意図ですか?
円安が続くとアメリカの輸出企業にとって不利になるうえ、日本国内でも物価上昇の一因になるためです。ただし金融政策の手法は日銀に委ねられていると日銀法に明記されており、日本側も方針に変わりはないとの立場を示しています。
筆者:田中(田中家の投資道)。日米株と金を中心に運用する個人投資家。毎日の経済ニュースと、実際の保有銘柄の売買判断を公開しています。
【免責事項】本記事は公開情報をもとにした筆者個人の見解であり、特定の銘柄や投資手法の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身の責任でお願いします。

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